『句集 髷を切る』(芳賀博子、青磁社:2023、9、18)

2023 . 10 . 25

2023_104

 

 

「髷」の読み方は「まげ」です。

「句集」といっても「俳句」ではなく「川柳」。でも「俳句」のような味わいも。5年前に単行本が出ていて、それも読んだが(2019読書日記122『髷を切る~芳賀博子句集』)、その文庫版が出た。前回からの5年間に読んだ句も追加して、「解説」があのパンクな文体の作家・町田康さん!

著者は、私の高校時代の友人の奥様で、今回この句集を送ってくれた。

ありがとうございます。

読めば読むほど、結構深い「人間の業(ごう)」のような謎が感じられて。さばけた性格と嫉妬のような激しい気持ちが。前回読んだときは気付かなかったな。

「十七文字」なのだけれど「五七五」のリズムには囚われない、フリージャズのような雰囲気を感じた。

改めて何句か、気になった句を拾うと、

「品がない そうかそういうことらしい」(9ページ)

「長い長い 吐息をもらす 空気穴」(36ページ)

「大声で 復唱される カレー蕎麦」(42ページ)

「М78星雲へ帰るバス」(43ページ)

「ロング缶1本 本日の墓標」(44ページ)

「眠っていたらしい 歌っていたらしい」(45ページ)

「鳥の声 たてて職質を受ける」(46ページ)

「ひたひたと木目にしみる化粧水」(90ページ)

「おしまいに羽音をたてる洗濯機」(101ページ)

「伐りだしたまんまの夜の匂いです」(123ページ)

といったあたりが気に入りました!

生活の匂い、ふと切り取った季節感。胸の中の思い。

改めて「五七五」の枠に囚われずに、「五七五」の枠に収めているんだなあと思いました。

 

 

(2023、10、17読了)