お盆の時期に読み始めて、お彼岸の中日に読み終わった。
著者の経歴を最後に見たら、この人は新聞記者・雑誌記者だったけど、元々お寺に生まれて、今はお坊さんなんですね。当事者・専門家であり、また客観的な目も持っていると。
昨今「墓じまい」などが言われ、お寺の住職の数も減ってきて、お寺の維持も難しくなってきている。その昔は「土葬」だったものが、明治以降「火葬」に変わったが、今も法律で「土葬が禁止」されているわけではなく、「土葬時代」は「実際に埋める場所」と「拝みに行く墓」は別だった。それは知っている。道浦家の三重県の墓もそうだった。祖父の埋葬は「土葬」だったはずだ。そう思って読んでいたら、なんとその三重県辺りの墓の紹介が出て来た。埋める場所は「さんまい」と呼ばれることは、私も小学生時代から知っていた。俄然、興味が湧いて読み進めたのである。
昨今は、イスラム教の信者(ムスリム)が日本にも増えて、その埋葬を巡って地域と「もめ事」になったりというケースもあるとのこと。外国人を「労働力」として受け入れるということは、その宗教も受け入れる覚悟がいるのだ。「それは信教の自由」という「抽象的なもの」だけでなく「埋葬」という「現実的な問題」も出てくるということである。
いろいろと考えさせられる一冊であった。
(2023、9、23読了)


