8月25日、夏の高校野球で107年ぶり2度目の優勝を果たした「慶応高校」の記者会見で、清原和博さんの二男・清原勝児選手に質問をする際、某キー局の女性記者が、
「おめでとうございました」。
と言ったのが気になりました。「おめでとう」のあとは「過去形」ではなく「現在形」で、
「おめでとうございます」
ではないでしょうか?気持ちはわかります。優勝直後ではなく数日後なので、「優勝」そのものは「過去」になっているのですからね。でも「お祝いムード」は続いている状態での一言なので、つい「過去形」で「おめでとうございました」。
これは以前から言われていることですが、なぜ「おめでとうございました」がおかしいのか、考えてみました。
そもそも「~ございます」の「前に来る言葉」は何かを考えたところ、
「ありがとう」「おめでとう」「おはよう」
が思いつきました。というか、それ以外に思いつきません。
この3つの中で「過去形」の「ございました」が付いてもおかしくないと思えるのは、
「ありがとうございました」
だけですね。あとの2つは、「過去形」にすると、
「おめでとうございました」「おはようございました」
と、なんだかおかしいですね。「過去形」は使わない、「現在形」のみ。
違いは、「ありがとう」は、
「自分の気持ちについて言っている」
のに対して、「おめでとう」「おはよう」は、
「相手の状況について言っている」
という違いがあります。相手について言っているから「敬語」の「お」が付いていますが、「ありがとう」は敬語ではありません。
あ、そしてこれら3つに共通しているのは、
「ウ音便」
だということですね。本来なら、
「ありがたい」「おめでたい」「おはやい」
だが、それに「ございます」が付くことで、「う」になって、
「ありがとう」「おめでとう」「おはよう」
になっている。そう考えると「ございます」が付く言葉、他にもありますね。
「あぶのうございます」「おいしゅうございます」「ねむとうございます」「いそがしゅうございます」などなど。
でも、「慣用句」のようになっているのは「最初の3つ」ぐらいかな。(「ありがとう」「おめでとう」「おはよう」)
そういえば、40数年前の京阪電車の駅の録音されたアナウンスは、女性の声で、
「電車が参ります。あぶのうございますので、白線の内側までお下がりください」
というように、
「ウ音便」
が使われていたなあ。今は、
「あぶないですから」
になっています。つまり、
「あぶない」「おいしい」「ねむたい」「いそがしい」
といった、
「状況を想定した言葉」
は「ウ音便」になり、
「あぶのうございました」「おいしゅうございました」「ねむとうございました」「いそがしゅうございました」
と「過去形にもなる」のですが、
「相手に対して言う慣用句は、過去形にならない」
ということですかね?
きょうは「このへんにしとうございます」。


