9069「暗殺か?銃撃か?」

2023 . 8 . 8

9069

 

 

奈良で銃撃され安倍晋三元首相が亡くなって1年が経ちました。

あの事件を指して、

「安倍晋三元首相銃撃事件」

と一般的には呼ばれていますが、なぜ、

「暗殺事件」

と呼ばないのか?という質問を受けました。

うーん、その関連で言えば当初は、

「テロか?」

とも言われていましたが、それも最初だけでしたね。

「テロではない」

と。「テロ」には、

「政治的なバックボーンが必要」

と説明されていました。「暗殺」も同様に、

「政治的な対立が、その背景・要因としてある場合」

を指すのではないでしょうか。

単に「事象」「事件」としてとらえると、

「銃撃事件」

となり「銃撃」の結果「死亡」したという解釈だと思います。

そう答えてから、辞書を引いたところ、やはり日本語の「暗殺」は、

「ひそかにねらって人を殺すこと」(広辞苑)

ですが、

「多く、政治的に対立している要人を殺すこと」

のようです。リンカーン、ケネディ、犬養毅、浜口雄幸などなど、「要人」は大体、

「政治家」や「王族・皇族」

になるのでしょうが、やはりそこに、

「政治的な思想の対立」

というのが「必要要素」になってくるのではないでしょうか。

その意味では、

「統一教会を支持する演説をした」

ということで安倍元首相を狙ったのは、「暗殺」からは少しずれるのかもしれません。

逆に、和歌山・雑賀崎の岸田首相襲撃は、

「政治制度に対する不満(若年者の立候補ができない)」

からなので、

「暗殺未遂」

に含まれるのかもしれません。

一方、欧米だと「政治的対立」がなくても「有名人」でも「暗殺」を使うのかもしれません。

「ジョン・レノン」

は「暗殺」だったのでしょうかね?

英語で「暗殺」の意味の、

「アサシン(assasin)」

は、映画のタイトルにもなりましたが、

「いかにも英語っぽくない響き」

で、もとはアラブかどこかかの言葉だったと思いますが、英和辞典には、

「12~13世紀に、十字軍戦士を暗殺するなどしたイスラム教の一派」

のことを、

「アサシン派」

と呼んだのが起源のようですね。

「イスラム教イスマイル派の分派ニザール派の異称」

…と言われても、ピンときませんが。秘密暗殺団を組織し、貴族・政治家・十字軍などを襲ったのだそうです。

でもそうすると、

「十字軍を襲って『暗殺』」

なら、

「統一教会関連で襲ったのも『暗殺』」

と言えなくもない…。

山口二矢による社会党・浅沼稲次郎刺殺事件は、沢木耕太郎が「テロルの決算」で書いたように、

「テロであり暗殺」

でしたね。

オウム事件の時、村井秀夫が右翼団体組員に刺殺されたのは「暗殺」でしょうか?これは「刺殺事件」のようですね。

殺された相手だけでなく、犯人側の立場も考えて「テロ」「暗殺」か、そうでないかと、日本では判断するのではないでしょうか。そしてやはり、

「『暗殺』は『政治的な色が付く』傾向がある」

ということはないでしょうか。

グーグル検索では(7月25日)

「安倍元首相暗殺事件」= 2万1100件

「安倍元首相銃撃事件」=28万7000件

でした。

 

(2023、8、8)