奈良で銃撃され安倍晋三元首相が亡くなって1年が経ちました。
あの事件を指して、
「安倍晋三元首相銃撃事件」
と一般的には呼ばれていますが、なぜ、
「暗殺事件」
と呼ばないのか?という質問を受けました。
うーん、その関連で言えば当初は、
「テロか?」
とも言われていましたが、それも最初だけでしたね。
「テロではない」
と。「テロ」には、
「政治的なバックボーンが必要」
と説明されていました。「暗殺」も同様に、
「政治的な対立が、その背景・要因としてある場合」
を指すのではないでしょうか。
単に「事象」「事件」としてとらえると、
「銃撃事件」
となり「銃撃」の結果「死亡」したという解釈だと思います。
そう答えてから、辞書を引いたところ、やはり日本語の「暗殺」は、
「ひそかにねらって人を殺すこと」(広辞苑)
ですが、
「多く、政治的に対立している要人を殺すこと」
のようです。リンカーン、ケネディ、犬養毅、浜口雄幸などなど、「要人」は大体、
「政治家」や「王族・皇族」
になるのでしょうが、やはりそこに、
「政治的な思想の対立」
というのが「必要要素」になってくるのではないでしょうか。
その意味では、
「統一教会を支持する演説をした」
ということで安倍元首相を狙ったのは、「暗殺」からは少しずれるのかもしれません。
逆に、和歌山・雑賀崎の岸田首相襲撃は、
「政治制度に対する不満(若年者の立候補ができない)」
からなので、
「暗殺未遂」
に含まれるのかもしれません。
一方、欧米だと「政治的対立」がなくても「有名人」でも「暗殺」を使うのかもしれません。
「ジョン・レノン」
は「暗殺」だったのでしょうかね?
英語で「暗殺」の意味の、
「アサシン(assasin)」
は、映画のタイトルにもなりましたが、
「いかにも英語っぽくない響き」
で、もとはアラブかどこかかの言葉だったと思いますが、英和辞典には、
「12~13世紀に、十字軍戦士を暗殺するなどしたイスラム教の一派」
のことを、
「アサシン派」
と呼んだのが起源のようですね。
「イスラム教イスマイル派の分派ニザール派の異称」
…と言われても、ピンときませんが。秘密暗殺団を組織し、貴族・政治家・十字軍などを襲ったのだそうです。
でもそうすると、
「十字軍を襲って『暗殺』」
なら、
「統一教会関連で襲ったのも『暗殺』」
と言えなくもない…。
山口二矢による社会党・浅沼稲次郎刺殺事件は、沢木耕太郎が「テロルの決算」で書いたように、
「テロであり暗殺」
でしたね。
オウム事件の時、村井秀夫が右翼団体組員に刺殺されたのは「暗殺」でしょうか?これは「刺殺事件」のようですね。
殺された相手だけでなく、犯人側の立場も考えて「テロ」「暗殺」か、そうでないかと、日本では判断するのではないでしょうか。そしてやはり、
「『暗殺』は『政治的な色が付く』傾向がある」
ということはないでしょうか。
グーグル検索では(7月25日)
「安倍元首相暗殺事件」= 2万1100件
「安倍元首相銃撃事件」=28万7000件
でした。


