9074「よどばやし」

2023 . 8 . 9

9074

 

 

もう世の中「お盆休みモード」に片足突っ込んでいるようで、朝の通勤電車も、お休みで出かける人、子連れの方が目立ちます。きょうも少学1年生ぐらいと4歳ぐらいの男の子を連れた家族連れを見かけました。

そのお兄ちゃんの方、小学1年生ぐらいの男の子が、

「あ、特急!淀屋橋(よどやばし)ゆき!」

と言ったら、負けじと4歳ぐらいの弟も「淀屋橋ゆき」と言いたかったのでしょうが、口から出て来た言葉は、

「よどばやしゆき」

でした。かわいいなあ。「や」と「ば」が入れ替わってしまったんですね。

「音位転換(メタテシス)」

という現象ですね。

「たかしまや」(高島屋)→「たかしやま」

のような感じ。この子、京阪の、

「せんばやし(千林)」

だったら、

「せんやばし」

と言ってしまうのかな?

そんな中で、「音位転換した語」の方が定着してしまうこともありますね。

「あらたし」(新しい)→「あたらし」

「さんざか」(山茶花)→「さざんか」

「あきばはら」(秋葉原)→「あきはばら」

「しだらない」→「だらしない」

のような例も。

そんなことをフェイスブックに書いたら、合唱関係の友人から、

「うちの娘は、『おてつだい(お手伝い)』を『おてだいつ』と言います」

という書き込みが。これは初めて聞いたケースです!

もしかしたら、

「『5文字』の言葉の後半が、間違って入れ替わってしまう傾向があるのかも」

と思いました。

また、「平成ことば事情6890」で書いた、

「タイポグリセミア現象」

も、ちょっと関係あるのかな?
「間違った語順」で書かれていても「正しく読んでしまう」というもので、たとえば、

「かたむつり」

と書かれているのに、

「かたつむり」

と正しく読んでしまうというようなものです。

これを使った、富山県高岡市にある「どら焼き」の老舗「中尾清月堂」の広告が、凄かったんです。

「みまなさに だじいな おらしせ。

こたのび なかおせいげどつう が

ぜたっいに ばれない ように

どやらきの リニュアールを

おなこいました。」

間違いだらけのこの文章を、我々は、

「みなさまに だいじな おしらせ。

このたび なかおせいげつどう が

ぜったいに ばれない ように

どらやきの リニュアールを

おこないました。」

と読んでしまうと。ある意味、すごいですよねえ、人間の脳って!

 

(2023、8、9)