6月26日の「ミヤネ屋」のテロップをチェックしていたら、
「はむかう」
という言葉の漢字表記が、
「歯向かう」
でした。しかしこれ、いつも使っているハンドブック『新聞用語集』には載っておらず、読売新聞社の『読売スタイルブック』では、
「歯向かう」「刃向かう」
の「両方の表記」を認めていました。
一方、共同通信社の『共同通信記者ハンドブック』は、
「歯向かう」
だけを認めていました。
そして、『朝日新聞の用語の手引』『毎日新聞用語集』は、
「刃向かう」
のみ。『NHK日本語発音アクセント新辞典』(アクセント辞典ですが)も『NHK漢字表記辞典』の見出しも、
「刃向かう」
のみだったのです。だから、各社の意見を集約した『新聞用語集』には、この言葉を載せなかったのかな?各社の表記に対して、
「はむかわなった」
のですね。
『精選版日本国語大辞典』で「はむかう」を引くと「刃向」「歯向」両方の漢字表記があり、
(1)かみつこうとして、歯をむきだして向かっていく。また、刃物を持って向かっていく。*浄瑠璃・源平布引滝(1749)一「仁者に刃向かふ劔もなくすごすご立ッて行綱は」
(2)逆らう。抵抗する。敵対する。*歌舞伎・浮世柄比翼稲妻(鞘当)(1832)三幕「どうぞ、あなたに刃向(ハムカ)ふ事は」
で意味上は「歯向かう」「刃向かう」両方あるのですが、浄瑠璃と歌舞伎の用例はどちらも、
「刃向かう」
になっていました。まあ決して、
「ハム買う」
ではありませんが。どっちでもいい、といわれても、困っちゃうよなあ・・・。
7月4日の深夜に見たネットの「ニッポン放送」の辛坊さんの番組に対する記事では、
「プーチン大統領に真っ向から歯向かってきたプリゴジン氏」
というように、
「歯向かう」
を使っていましたが、これはたぶん『共同通信記者ハンドブック』の表記に従ったのではないかと思われます。


