9025「シャトルラン」

2023 . 7 . 6

9025

 

 

高校生が体育の授業で、

「シャトルラン」

をしていて熱中症で倒れたというニュースを「ミヤネ屋」で速報でお伝えしたところ、視聴者の方から、

「『シャトルラン』って何や?意味がわからん」

というご意見を頂きました。速報だったので、チェックする時間がほとんどなく、入って来た情報をそのままお伝えしてしまい、そのあたりの「説明の配慮」が欠けていました。すみませんでした。思うに、「シャトル」と言うとすぐに思い浮かぶのは、

「スペースシャトル」

ですよね。これは、

「宇宙と地球を行ったり来たりする乗り物」

ですし、

「空港へのシャトルバス」

の場合は、

「バス停から空港までを行ったり来たりするバス」

でしょうから、

「行ったり来たりすること」

だと思います。その、「ラン」=「走ること」なので、

「短い距離を行ったり来たりして走るトレーニングのこと」

を「シャトルラン」と言うのではないでしょうか?と、ぼんやりと考えていました。

これを、短く日本語に訳すとどうなるのでしょうか?

『三省堂国語辞典』に「シャトルラン」は載っているか?

「シャトル」は載っていました。

*「シャトル(shuttle)」=(1)→ひ(杼=機織りの道具)(2)(飛行機などの)定期往復便(例)シャトル便、シャトルバス(3)(←シャトルコック)バドミントンで打ち合う羽根。

ということで、(2)の意味ですが、用例にも「シャトルラン」は載っていませんでした。『明鏡国語辞典』『岩波国語辞典』も同様でした。

『新明解国語辞典』は、微妙に表現が違いました。

*「シャトル」=<(1)(2)略>(3)(短距離間を)定期的に往復するバス・列車・飛行機など。折り返し運転。(例)シャトル便、シャトルバス、スペースシャトル

とうことで、

「短距離間を」

という説明が入っていました。また『新選国語辞典』も「シャトルバス」を見出しに立てて、

「近距離間を往復運行するバスの便」

として、

「近距離間」

を説明に入れています。そうすると「シャトルラン」の日本語での説明は、

「短い距離を何度も走って往復するトレーニング」

といったところでしょうか。

ネットのグーグル検索では(7月6日)、

「シャトルラン」=85万2000件

で、トップに出て来たのは、

「20メートルシャトルラン(往復持久走)」

でした。そうか、ポイントの一つに「往復」もありますね。「何度も」は「持久走」か。

「20メートルシャトルラン」は、ウィキペディアにも載っていて要約すると、

「有酸素運動能力に対する体力測定の方法で『往復持久走』とも言う。1982年に専門誌で紹介され、文部科学省は2001年からスタートした新体力テストで、それまで行われていた急歩(男子1500m/女子1000mの持久走)との選択種目として採用。レベルは1~21まであり、反復の上限回数は247回。」

だそうです。

もう20年ぐらいの歴史があるのですね。日本語訳は、

「往復持久走」

が妥当かな。

 

(2023、7、6)