ふと、思いました。
「食い気味(にしゃべる)」
という言葉は、まだ国語辞典には載っていないのではないか?と。これの意味は、
「相手がまだしゃべり切っていないのに、しゃべり始めること。」
です。
そこで、新しい言葉を積極的に掲載することで有名な2022年1月(本当は20211年12月)に出た「三省堂国語辞典・第八版」通称・「三国(さんこく)」を引いてみました。果たして載っているのか?
・・・載っていました!すごい、さすが!
*「食い気味」=(俗)相手が話し終わらないうちに話すようす。(例)食い気味の発言
(芸能用語から、二十一世紀になって広まったことば)
ああ、いつも「ミヤネ屋」での宮根さんの中継先への話し方が、この、
「食い気味」
ですね。
あと「漫才」なんかでも、テンポの良い漫才のツッコミは「食い気味」にツッコミますね。やっぱり「芸能関連」の用語・用法だったのかな。
これ、「2014年1月」(本当は2013年12月)に出た「三国・第七版」には載っていないから、
「第八版の新語」
ですね!
「二十一世紀になって」
ということは、使われるようになってから、もう「20年」ぐらいたつということか。
他の辞書には載っているのかな?引いてみましょう。
「明鏡国語辞典」「新明解国語辞典」「岩波国語辞典」「新選国語辞典」「現代国語例解辞典」
「三省堂現代新国語辞典」「広辞苑」「精選版日本国語大辞典」「大辞林」・・・
・・・「くいき」「くいきる」「ぐいぐい」・・・載っていない。
さすが「三国」です。
で、やっぱり気にしていると、そういった言葉は目に留まるものですねえ。
というのも、ちょうど今読んでいる、吉田修一の
『続・横道世之介』(2019年2月発行。連載は2016年~2018年)
の「300ページ」に載っていた会話に、
『「じゃ、横浜行ったのって……」
「八月。ちなみに今年の八月」
と食い気味の世之介である。』
というように「食い気味」が出てきていたのです。
ちなみに小説の舞台(時代)は、
「1993年~1994年」
という設定でありますが、その頃に「食い気味」が使われていたかどうかは、分かりませんが、この小説を連載していた、
「2016年~2018年」
には、吉田修一さんの語彙には、すでに入っていたということですね。
もちろん、21世紀に入る前から、
「相手の話が終わる前に話し始めるという行為そのもの」
はありましたが、それを指して、
「食い気味」
という言葉で表現することは、一般的ではなかったということです。
グーグル検索では(6月14日)
「食い気味」=83万6000件
で、トップに出てきたもの(2022年9月9日)に、意味がこう記されていました。
『「食い気味」とは、「食い込み気味」を省略した言葉。人が話している最中に、相槌を打ったり、自分の話を割り込ませることを言います。相手の話が終わる前に、自分の話をし始めることから「食い込み気味」という表現になったようです。』
そして、
「食い気味に話す人の心理」
を分析して、こういう特徴があると記されていました。
1、話の結論が分かっている
2、周囲の注目を集めたい
3、相手の話に興味津々
そして「食い気味」という言葉の言い換えとしては、
「被せ気味」「前のめり」「遮る」
が挙げられていました。


