4月16日の「ミヤネ屋」で、岸田首相“襲撃”事件に関して、
「警衛」
という言葉が出て来ました。これは、
「警護」
あるいは、
「護衛」
ではないか?と思って調べましたが、確かにこの「警衛」という言葉はあるようです。
ふだんまず目にすることはありませんが、この日は「警察庁警備2課」の業務の説明に、
「警衛・警護を行う」
とあったのです。
また、警察庁のサイトにも、平成28年(2016年)に天皇皇后両陛下(現・上皇さまと上皇后さま)は、第67回全国植樹祭御臨場等(長野県)、第36回全国豊かな海づくり大会御臨席等(山形県)をはじめとした「行幸啓」をされ、それに伴って、
「警察では、皇室と国民との親和に配意した警衛警備を実施し、天皇及び皇族の御身辺の安全確保と歓送迎者の雑踏事故防止を図りました。」
として、
「警衛警備」
という言葉が出ています。
つまり「警衛」と「警護」、「警備」は、意味が違うのでしょうね。
『広辞苑』には、
「警衛」=警戒して護衛すること。
とシンプルに説明してありました。一方の「警護」は、
「警護」=警戒しまもること。また、その人。(例)身辺を警護する。
とありました。あまり違いが分かりませんが。
『精選版日本国語大辞典』では、
「警衛」=警戒し守ること。かためまもること。また、その役の人。警固。
用例としては森鴎外の「渋江抽斎11」(1916)から、
「東西蝦夷地を警衛することを命ぜられて」
とありました。「警護」は、
「警護」=(1)(「警固」の後世の表記)→警固(2)警戒し、まもること。護衛。
で、この2番目の用例は、徳富蘆花の「思出の記6」(1901-01)で、
「親類に預ける事となって<略>僕が途中警護の任に当ることになった」
とありました。
放送で「警衛」を使うと、どうしても、
「経営」
と混同しそうですから、やはり、
「警護」
を使うことの方が多くなりそうです。
グーグル検索では(5月10日)
「警衛」=446万件
「警護」=371万件
「警固」=185万件
で意外にも「警衛」が一番多かったです。


