校閲チェックに来てくれている、読売新聞校閲部OBのNさんが、
「日本海軍では『撃て』は『うて』ではなく『テッ』っと言っていた」
と教えてくれました。それで思い出したのは、
「かわぐちかいじ」
さんの漫画です。『空母いぶき』などを読んでいて気になったのは、
「撃て!」
というセリフの横に、
「テッ」
とルビが振ってあったのに、気付いていたからです。これは言葉の勢いの臨場感を表すものではないのか?と考えていたのですが、「日本海軍」ではそうだったことを、忠実に再現していたのですね。恐らく「海上自衛隊」でもその伝統は引き継がれているのでしょうね。
ネット検索したところ、テレビ朝日の「報道ステーション」のサイトの大越キャスター(私と同い年)が書いている、
「大越健介の報ステ後記」
というブログの「2021年12月11日」に「混じり合う思い」というタイトルで、
「103歳の元・海軍航空兵(職業軍人)吉岡政光さん」
にインタビューした内容が記されていました。
吉岡さんは、1941年の真珠湾攻撃で、空母「蒼龍」の艦載機「九七式艦上攻撃機」(縦一列3人乗り)に乗り組むことになったそうです。その際に、3トンの機体に、0.8トン(800kg)の魚雷をくくり付けて飛んだとのこと。
そして、ある艦船を見つけた時に、
「ヨーイ、テッ(撃て)!」
という合図があったそうです。やはり「テッ」なのか!
「ヨーイ」
があるから、
「ウ」
を呑み込んで、
「テッ」
になるのかもしれませんね。
「軍隊の言葉」「口調」に関しては、4月4日付「読売新聞」の1面コラム「編集手帳」に、
「今日中ニコノ原稿ヲ読ム!」
という言い方は、
「軍人風の口調での命令」
と書いてありました。それで思い出したのは、鉄道の階段に、
「上り」「下り」
などとよく書かれていますが、大阪では、
「上る」「下る」
と何だか「命令調」で書かれているのです。
「上れ」「下れ」
という「命令形」ではないんですが。これは小学校の時の先生が、
「はい、立つ!」「座る!」
と言っていたのですが、「軍隊がその発祥だった」のか!?
ちなみに「編集手帳」によると、そういう言い方をしたのは、かの三島由紀夫に『仮面の告白』を書かせた鬼編集者、
「坂本一亀(かずき)」
さんだと紹介した後に、その「一亀さんの息子」が、
「坂本龍一」
さんだと紹介して、彼の死を悼んでいました。


