8943「かんすけに怒る」

2023 . 4 . 17

8943

 

 

4月6日のニッポン放送のラジオで辛坊さんが、中国空母の台湾接近は、

「蔡英文総統の訪米に、かんすけに怒った結果」

と話していたと、ニッポン放送のサイトに載っていました。

私はこの、

「かんすけに怒った」

という表現を聞いたことがないのですが、方言なのでしょうか?何でしょうか?

『広辞苑』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『三省堂国語辞典』『精選版日本国語大辞典』には「かんすけ」は載っていませんでした。

グーグル検索では、

「かんすけに怒る」

では出て来ませんでした!

「かんすけになる」=たった4件!

トップに出て来た「日本語ソーラス・連想語辞典」では、

「冠助(になる)」=怒る

としか載っていませんでした。あとは、ゴーゴリー「死せる魂」(工藤精一郎・訳)の中のセリフで、

「くだらないことを言うなよ!これからバンクを一勝負やらかそうってんだよ」

「いやだよ、おめえ、自分でやるがいいさ。おれはやらねえよ、女房がかんすけになるからなあ、そうだ、あれに定期市(いち)の話をしてやる約束なんだ。だめだって、ひきとめねえでくれよ!」

という会話の中に「かんすけになる」が出て来ましたが、あまりにも出現度合いが少ないなあ。辛坊さんはなんでこんな言葉を知っているんだろうか?使用語彙として?

翻訳者の「工藤精一郎」さんをググったら、

*「工藤精一郎」=日本のロシア文学者。本名は「工藤 精一」。1922年、福島県生まれ。福島中学(現・福島県立福島高等学校)卒業。ハルピン学院卒業。日ソ文化交流機関講師、関西大学教授等を務めた。数多くのロシア文学・ロシア語文献を翻訳した。ロシア文学会会員。

のだそうです。「福島県」の方言か?でも「関西大学」の教授も務めていたと。

うーん、謎だ。辛坊さんに聞いてみよう!

 

 

(2023、4、17)

(追記)

読者の方から、情報を提供していただきました。ありがとうございます。それによると、

「かんすけ」

は、米川明彦先生の『集団語辞典』に載っていると。

 

*「かんすけ(冠助)」

<演劇>怒っていること。またそういう人「おかんむり」から。

<映画>夢中になること。ピリピリ緊張して撮影などの仕事をすること。

 

この<演劇>のほうの意味でしょうね。たしか、家に「集団語辞典」はあったはずですから、確認してみます。「おかんむり」から「かんすけ」かあ。

一方、<映画>の意味での「かんすけ」は、

「百万人の映画知識」(日本映画人同盟編、1950年、解放社)

からの引用が載っていましたが、こちらの意味ではないようです。

ご教示、どうもありがとうございました!

(2023、4、20)