8925「キョン」

2023 . 3 . 30

8925

 

 

3月29日の「ミヤネ屋」でテロップをチェックしていたら、韓国の話題の際に、

「京郷新聞」

という名前の新聞が出て来ました。この、

「京郷」

に「現地音」で「カタカナのルビ」を振るので調べたところ、

「キョンヒャン」

と読むのでした。それで、テロップ作成のオペレーターの20代の女性スタッフに、

「『京郷(きょうごう)』の上に『キョンヒャン』とルビを振ってください」

とお願いしました。30秒後に出来上がったテロップの画面を確認したら、

「ピョンヒャン」

になっていました。そこで少し声を大きくしてハッキリと、

「違う違う!『ピョン』じゃなくて『キョン』!『キョンキョン』の『キョン』!『キョンシー』の『キョン』!」

と言ったら、笑っていました。横にいた40代半ばの男性ディレクターが、

「道浦さん、若い子に『キョンキョン』は通じませんよ。僕らでギリギリですわ」

と言われたので、

「え?『キョンキョン』、小泉今日子は、わかるやろ、だって『あまちゃん』にも出てたし」

と言うと、

「『あまちゃん』も、もう10年ぐらい前とちゃいますか」

と言われました。私の認識が「あまちゃん」でした…。そして彼は、その横にいた30代半ばの女性ディレクターに、

「なあ、『キョンキョン』、わかれへんやろ?」

と声をかけると、

「うーん、わかりますけど、使いませんねえ」

「じゃあ『キョンシー』は?」

と聞くと、30代の女性ディレクターは、

「何ですか?それ?」

と言うので、

「『中国のゾンビ』やな。死人が両手を前に出して、ピョンピョンって跳ぶねん。でも、おでこにお札を貼ったら、動きが止まるねん」

と説明しました。

40代の男性ディレクターは、

「わかかりますよ!僕、小学生ぐらいやったけど、めっちゃ流行りましたよね」

「俺、もう働いてたわ…」

さらに40代男性ディレクターが、

「めっちゃ流行りましたよね!今やったら『ハロウィーン』とかの時に、渋谷の街は『キョンシーだらけ』になるぐらいと違いますか?」

と、大げさに興奮した口調で話します。

でも、40代には伝わっても30代でこの反応では、20代のテロップオペレーターの女性に「キョンキョン」や「キョンシー」で、

「『ピョン』ではなく『キョン』」

とわかってもらうのは無理ですね・・・

あっそうか、“そのものズバリ”があったやん!

「八丈島のキョン!」

です!「がきデカ」です!あの、何かようわからん動物です!(シカ科の哺乳類らしい)

え?それは「キョンキョン」や「キョンシー」より古いって?

「いやいや最近、『八丈島のキョン』が千葉県で増えて、大変なことになっているというニュースやってたから、大丈夫とちゃうか?」

と言いましたが、やはり動物の「キョン」も、若者は知りませんでした。

「うーん、困った。『キョン』という言葉は、どうやって説明すればいいんだ?」

と思って、ここで初めて国語辞典を引いてみました。

ところが!大きな国語辞典でも、「キョン〇〇」で載っているのは、

「(動物の)キョン」

ぐらいでした。漢字では、

「羗」

と書くのですね。そして「キョンキョン」が載っていないのは仕方ないとしても「キョンシー」も載っておらず、それ以外では、

「朝鮮半島の地名」

として、

「京畿道(キョンギド)」

などいくつかが載っているだけなのです。うーむ、これでは説明できないではないか!

そうか、そもそも、

「拗音の『キョン』という音を持つ言葉は、日本語にはなかった」

のですね。納得しました。しょうがない、これから「キョン」を説明する時は、

「キョ」+「ン」

と分けて説明することにします。もしくはあくまで、

「キョンキョン」「キョンシー」「八丈島のキョン」

で押し通すか、だな!

 

(2023、3、29)