(2021年3月19日にタイトルを書きました)
2021年2月15日の読売新聞に、
「トランプ氏弾劾 無罪~米議会占拠扇動」
「上院2/3達せず 共和7人造反」
という見出しが出ていました。この、
「達せず」
というのを見て、ちょっと、
「あれ?」
っと思いました。というのは、「現代口語」でこの言葉の終止形は、
「達する」
で、否定の「ない」につながる「未然形」だと、
「達しない」
ですよね。
そうすると「ない」と同じ「否定」の意味の「文語」の「ず」につながるとしても、
「達しず」
になるのではないか?と思ったのです。でも「達しず」には、違和感がありますよね。
恐らく「現代口語」の中にも「書き言葉」としては「文語」の形が残っていて(それは普段から感じていることです)そこでは「文語の文法」が生きているので、ここは、
「達せず」
となるのではないでしょうか?
たまに、「達しず」と言っている人も、いるような気がしますが。「達し得ず」は「あり」かな。グーグル検索では(3月22日)、
「達せず」=136万0000件
「達しず」= 3990件
でした。
『三省堂国語辞典』を引いてみると「達する」は「サ変動詞」でした!これは意外!
そして活用は「察する」などと同じく、
「【未然】せ・し【連用】し【終止】する【連体】する【仮定】すれ【命令】しよ・せよ」
です。そすると「ず」につながる「未然形」は「せ」と「し」があるので、
「達せず」「達しず」
両方あるのかな?
『三省堂国語辞典』は実はその後に、「達す」「達しる」という語も挙げていて、これは、
「古風」(な表現)
で、活用は「上一段活用」だと書いてありました。そうすると、
「【未然】し【連用】し【終止】しる【連体】しる【仮定】しれ【命令】しろ・しよ」
か。これだと、「ず」が付く「未然形」は、
「達しず」
しかないのか。こちらの「達しず」が「古風」なのかな?そもそも、否定の「ず」が付くのが「古風」だと思っていましたが、その中にも、
「段階がある」
のかもしれませんね。


