<2007年12月20日に書き始めました。>
2007年12月12日に京都の清水寺で発表された「今年の漢字」は、
「偽」
でした。何か何にまで「偽」、特に「食」に関するものでいろんな偽装が行われていたことは、本当に何も信じられなくなるぐらい、本当に嫌な年でしたね・・・。
さてその「偽装」ですが、これは「偽造」とはどう違うのか?また「虚偽」という言葉とどう違うのか、考えて見ました。
「偽造」というからには本物があるはず。契約書5通を「偽造」というのは、ありもしないイベントの契約書を作ったということ。契約書のひながたはある。「有印私文書偽造」。これで財物を搾取すれば詐欺。とってなくても意図があれば未遂。パスポートや紙幣の「偽造」は、本物に手を加えるか、本物に似せて作るということ。
「有印公文書偽造」と「虚偽有印公文書作成」
京都府警の元・九条署長が9年前、酒に酔った男性を署内の駐車場に放置して死亡させたのに「パトカーの中で保護した」と部下にウソの報告書を書くように指示したとして「虚偽有印公文書作成」の罪に問われていた事案で、大阪高裁は2007年3月6日、被告側の主張を退け、懲役1年6か月、執行猶予3年の逆転有罪判決を言い渡した。
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ここまでが「2007年12月20日」に書いたもの。
そして、7年後の「2014年7月21日」に下のようなものも書きかけていました。
(平成ことば事情5515「虚偽公文書作成と偽造公文書行使」)
「ない物を作る」
のだから、
「虚偽の文書を作成」
する。それが「できた」時点で、できた「物」は「虚偽」ではなく、
「偽造された文書」
になる。だから「行使=使う」ものは、
「偽装された文書」
ということになるんだと理解しました。
「虚偽公文書作成」は「刑法156条」
「偽造公文書行使」は「刑法158条」
に当たります。
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そして、それからさらに9年経った「2023年3月15日」に、後輩アナウンサーから質問を受けました。
「『偽装』と『偽造』はどう違うんでしょうか?」
「うーん、大きな枠で考えると『偽装』があって、その『偽装工作』の具体的な細々(こまごま)とした作業の中に『偽造』があるんじゃないかな。」
と答えました。
なかなか難しい問題ですが、諦めずに考え続けて良かったです。


