8857「舞台裏と裏舞台」

2023 . 2 . 6

8857

 

 

2月3日の「ミヤネ屋」のテロップをチェックしていたら、

「脱北の裏舞台とは」

というテロップが出て来ました。うん?「裏舞台」?それって普通は、

「舞台裏」

って言うんじゃないのか?

「屋根裏」とは言っても「裏屋根」という言葉がないのと同じでしょう。「裏窓」「裏口」「裏木戸」はあるけど。

とそこまで考えて、

そもそも、お客さんに見せる部分は「舞台」で、スポットライトを浴びるわけです。

それを支える「裏方さん」が働いている所は、

「舞台の裏」=「舞台裏」

ですね。だって、表の「舞台」の「裏」に、「舞台」はありませんよね。「裏舞台」はないんです。そこには「裏の部隊(スタッフ)」は、いるかもしれませんが。

また、スポットライトを浴びる舞台に例えて、社会的に日の当たる・世間の注目を浴びるようなシーンに関して、

「表舞台」

とも言うので、そこから誤って「表」の反対は「裏」だから、

「裏舞台」

というような間違った言葉が生まれたのではないでしょうか?

グーグル検索では(2月3日)、

「舞台」 =2億6500万件

「表舞台」=   426万件

「舞台裏」=  2410万件

「裏舞台」=   169万件

「舞台の裏側」=  43万件

でした。やはり圧倒的に「舞台裏」のほうが、「裏舞台」よりも使われています。14倍以上です。ついでに、

「檜舞台」  =12万0000件

「ひのき舞台」=39万2000件

「ヒノキ舞台」=35万4000件

でした。

『広辞苑』『精選版日本国語大辞典』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』には「裏舞台」は載っていません。『三省堂国語辞典』では「裏舞台」は「空見出し」で、

「『舞台裏』を見よ」

になっていました。

でも結局これは、単純に「裏側」でいいのではないか?ということで、放送では、

「脱北の裏側」

にしました。

 

(2023、2、3)