8842「手水舎と手水鉢」

2023 . 1 . 24

8842

 

大阪・吹田の神社のウサギの置物が盗まれたというニュースで出て来た、

「手水舎」

という言葉を、アナウンサーが、

「テミズヤ」

と読んだところ、視聴者の方から、

「チョーズヤ」

ではないのか?というご指摘を受けました。たしかに「手水」は、

「チョーズ」

と読みますね。

「手水鉢」

は、

「チョーズバチ」

ですね。そこで調べてみたところ、辞書にはなんと、

「テミズヤ」

と載っているではないですか!

報道のデスクに確認したところ、彼も気になって該当の神社に読み方を確認したところ、「テミズヤ」

だったそうです。さらに神社本庁のHPにも、

「テミズヤ」

と書かれていたそうです。

https://www.jinjahoncho.or.jp/omairi/osahou/sanpai

つまり、「手水」の読み方は、

「手水舎」=テミズ(ヤ)

「手水鉢」=チョーズ(バチ)

と使い分けられているのですね!

『新聞用語集2022年版』の「放送で標準とする読み方麗」には「手水」も「手水鉢」「手水舎」も載っていませんでした。

『NHK間違いやすい日本語ハンドブック』(初版2013年。私が持っているのは2017年の5刷)には、318ページに

「手水」チョーズ  ×テミズ

と載っていました。

また『共同通信記者ハンドブック第14版』は、

「ちょうず(手水)→ちょうず」(324ページ)

と、平仮名で書く、と記してありました。「てみず」は載っていませんでした。

 『精選版日本国語大辞典』は「テミズヤ」「チョーズヤ」と両方載っていました。

『広辞苑』も両方載っていました。

『三省堂国語辞典』も「てみず」「ちょうず」両方見出しがあって、その用例(作例)でそれぞれ「手水舎」がありました。

『明鏡国語辞典』は「てみず」「ちょうず」の見出しはありましたが、どちらにも「手水舎」はありませんでした。

『新明解国語辞典』は「てみず」の(1)が「空見出し」で「ちょうず」を見よと。そこで見出しとして「ちょうずば(手水場)」「ちょうずばち(手水鉢)」が載っていました。

そもそも「チョ-ズ」は「テミズ」がなまってできた発音なのですから、どちらでも間違いとは言えないのでしょうね。

 

(2023、1、23)