「いつものように「ミヤネ屋」のテロップをチェックしていたら、
「気温下降」
というテロップが出て来ました。
「あれ?なんかヘンだな」
と思いました。
「これは『下降』ではなく『降下』ではないのか?」
ということで、「下降」と「降下」、辞書を引いてみました。
*「下降」
【広辞苑】下の方におりること。低くなること。(例)飛行機が下降する、成績が下降する
【精選版日本国語大辞典】下にさがること。下ること。降下。(例)長塚節「土」二七(1910)「其の夜温度が著るしく下降した」
【三省堂国語辞典】下にさがること。くだること。(例)下降線をたどる(⇔上昇)
*「降下」
【広辞苑】(1)高い所からおりること。さがること。(例)気温が降下する、急降下
(2)略
【精選版日本国語大辞典】(1)高い位置から下へさがること。高い所からおりること。また、高い位置からさげること。(2)略。
【三省堂国語辞典】(1)(高い所から)おりること。おろすこと。(例)急降下(2)(温度が)低くなること。(3)パラシュートでとびおりること。(例)降下部隊(4)高い地位の人からあたえられること。(例)大命降下
【三省堂国語辞典】の(2)で言うと、やはり「気温」は「降下」ですね。でも1910年の長塚節「土」では「気温」に「下降」を使っているのか。
意味としては同じだけれども、「コロケーション」(語の結びつき)としては、
「気温」=「降下」
のほうが強いように思いますけどね。「急降下」とは言うけど、「急下降」はあまり聞かないのと同じように。「成績」は「降下」より「下降」のほうが、結びつきが強く感じるな。
グーグル検索では(1月26日)
「気温降下」 = 6490件
「気温下降」 =88万6000件
「気温急降下」=14万5000件
「気温急下降」= 1640件
あら。「急」が付かなければ、
「気温降下」<「気温下降」
「急」が付くと、
「気温急降下」>「気温級下降」
なのか。これは不思議!
ついでに「成績」も。
「成績降下」 = 1770件
「成績下降」 =41万1000件
「成績急降下」= 3670件
「成績急下降」= 245件
で、これも「気温」と同じ傾向が出ましたね。
単に「下がる」場合は、「気温」も「成績」も、「下降」のほうがよく使われているけれど、「急」が付くと、「降下」のほうが「下降」よりも使われる傾向がある(ネット上では)ということが分かりました。意外でした。
「急降下」
というのは「一つの言葉として認識」されて使われているのでしょうね。


