10月27日の夕刊を見ていたら、イランで22歳の女性が、頭にかぶる布、
「ヘジャブ」
のかぶり方が不適切だとして逮捕された後に、急死した事件に対する抗議デモに1万人が参加したという記事が「朝日新聞」と「毎日新聞」に載っていました。その「ヘジャブ」のことを「朝日新聞」は、見出しで、
「ヒジャブ」
となっていたので「おや?」っと思いました。「ヘ」ではなく「ヒ」。記事本文を読むと、
「ヒジャブ(ヘジャブ)」
となっていました。これは、
「『ヒジャブ』って書いたけど、わかりにくいから、これまで書いていた『ヘジャブ』のことですよ」
という説明なのでしょうか?たぶん、現地の音は、
「『ヘ』と『ヒ』の中間」
なのでしょうが、「日本語のカタカナ」にしてしまうと、「ヘ」と「ヒ」ではイメージが全然違うということは「ヘ」を見るより明らか・・・・ではなく、「ヒ」を見るより明らかです!
一方、毎日新聞を見ると、
「スカーフ」
になっていました。そうか、
「その物の、固有名詞的なイランでの呼び名」
は「ヘジャブ」「ヒジャブ」だとしても「一般名詞」的にくくってしまえば、その用法などからも、この布切れは、
「スカーフ」
と呼べるという判断ですね。イスラム関連用語に詳しくない読者にも配慮した書き方だなと思いました。
その「スカーフ」で思いついたのは、
「スカート」
です。「スカーフ」と「スカート」は1字違い。というか、「スカー」
が同じですね。語源が同じなのでは?と思ったのです。両方、
「布切れ」ですし。そこでさらに思いついたのが、映画のタイトル、
「スカーフェイス」
この意味は、
「傷のある顔」
でしたよね。ということは、
「スカー」=「切る」
という意味なのではないか?「スカーフ」も「スカート」も、
「布を切った物」
ですからね。同じ語源なのではないか?と思ったのです。
英和辞典を引いてみたら、「名詞」の意味では、
*「scar」=(1)傷跡、やけどの跡、(一般に)跡。(2)心の傷。(3)(戦争・災害などの)爪痕。外観を損なうもの、汚点、(物の表面の)傷。(4)略。
とあり「動詞」の意味では、
*「scar」=(1)<人・物>に傷跡を残す。(2)(3)以下略。
でした。「切る」という意味はないな。
「スカーフ」と「スカート」は、
「スカーフ(scarf)」
「スカート(skirt)」
で、「スカー」の「綴り」が違いました。そして「スカート」は、
「原義:シャツ。Shirtsと同語源」
とあったので、これは関係ないことがわかりました。残念!
「ヘジャブ」については「平成ことば事情1563ヘジャブ」で、「2006年」にも書いていますので、お読みください。


