漫画週刊誌「モーニング」で連載している須賀達郎『ボールパークでつかまえて!』を読んでいたらこんなシーンがありました。
主人公のルリコが、思いを寄せる男性と偶然一緒になったときに、こう聞きます。
「私の夢 見たこととか・・・ある?」
これに対して、突然の質問に戸惑い照れて、
「ま・・・またそうやって 俺をいじる~ ないですよ・・・」
と答えてしまいますが、多分、本当は見てますね。
「夢、見たことあります!」
と答えてほしかったルリコは、不満そうにため息をつきながら、こうつぶやくのです。
「見ろし…私の夢…」
意味が分からない鈍感な男は、
「・・・・・・・はい?」
と言うと、ルリコは、
「バカ!アホ!薄情モノ!」(そこまで言わなくても…)
と答える、何とも甘酸っぱいシーン。
問題はこの、
「見ろし」
です。中でも語尾の「し」ですね。全体の意味は、
「見ろよ」
の「よ」に当たるんですが、「し」の使い方が、普段、私などは用いないものです。
子供らが関西弁で
「〇〇するし」「〇〇見るし」
というように「し」を使うことはありますが、その場合は、
「(動詞の)終止形+し」
ですが、今回は、
「(動詞の)命令形+し」
という形ですね。そこがちょっと、珍しい気がします。
グーグル検索では(10月12日)、
「見ろし」=1万9400件
と、そんなに多くはありませんでした。
「猫みろし」
という、
「猫ひろし」
に引っ掛けたダジャレもありましたが、その中に、
「方言」
というのもあったので、キーワードに加えてみたら
「見ろし・方言」=294件
で、そのトップが、
「甲州弁」
でした。つまり「山梨県」。使い方としては、
「やれし、見ろし、食えし、行けし、とまれし、譲ってやれし」
で、「命令形」です。ってことは、主人公のルリコが、
「山梨出身」
という設定なのかな?それとも、作者の須賀達郎さんが、「山梨県出身」?
これも調べたら、須賀さんは1988年生まれで「神奈川県出身」でした。もしかしたら、須賀さんのご両親(のどちらか)が「山梨県出身」で、“家庭内共通語”で「見ろし」が使われていたのかもしれません。それか、神奈川県でも「見ろし」と言う地域があるのかもしれませんね。


