「かんさい情報ネットten.」の黒木アナウンサーが、真剣な表情で近付いてきました。オンエアーの時間が迫っているようです。そして、こう尋ねました。
「道浦さん、大工さんが使う道具の『のみ』のアクセントは『ノ\ミ』と『頭高』でいいんですよね?」
「うん、そうだね、『ノ\ミ』だね。これが『平板』というか『尾高アクセント』の『ノ/ミ\』になると、虫の『蚤(のみ)』になっちゃうからね。」
「漢字で書いてあったんですけど、それ(鑿)が読めなくて・・・『のみ』でよかったのかなあと思って…。」
「ああ、たしかにあれは、難しいよね。『せんばん(旋盤)』の『盤』みたいなイメージの字だっけ?読めるかと言われても自信はないし、書けと言われても絶対書けないな。」
「とにかく『ノ\ミ』ですね、ありがとうございました!」
と言うや、彼女はスタジオのほうに小走りに去っていきました。
「鑿(ノ\ミ)」「蚤(ノ/ミ\)」
という同音異義語のアクセントの使い分けですね。
それにしても、農機具や大工道具って「2拍の言葉」が多い感じがします。そして同音異義語でアクセントが違うものもあったりします。
「斧(オ\ノ)」
「鎌(カ\マ)」(「窯(カ/マ)」「釜(カ/マ)」
「鉈(ナ/タ)」
「鍬(ス/キ)」
「鍬(ク/ワ)」(「桑(ク\ワ)」)
など。
こういった「道具」を、私たちは最近、めったに使うこともなく、実物に触れる機会もないので、当然この言葉を使う機会も減って、余計にアクセントが分からなくなっているのではないでしょうか?
ちなみに黒木アナウンサーが読んだ「鑿(のみ)」が出てくるニュースは、
「京都・大徳寺の屋根裏から 400年前のノミ発見」
というニュースでした。
(2022、10、25)


