8693「夕餉を飰す・飯す・喫す」

2022 . 9 . 27

8693

 

永井荷風の『断腸亭日乗』(岩波文庫)」の下巻を読んでいて気になったのは、

「夕餉(ゆうげ)を飰す」「夕餉を飯す」「夕餉を喫す」

という言葉。しょっちゅう出て来ます。全部意味は、

「夕飯を食べる」

ですが、最初の難しい漢字のは、

「飰(はん)す」

と読み、「飯」の異体字だと思いますが、

今はあまり、

「飯す」

とは言いませんよね。

いずれにせよ、混在しているこの漢字の「使い分け」は、どうやってしていたのか?意味の違いはあるのでしょうか?

また、

「夕餉を喫す」

のほうは「喫茶店」「喫煙」の「喫」ですから、これも「食べたり飲んだり」するのでしょうが、どちらかというと、

「のむ」

ほうに重点が置かれたのかな?と。食事は軽い感じ。喫茶店でも同じでしょう。

これ以外に、

「食す」

も出て来ます。

「日乗」=「日記」

なので、天気や気温(「華氏」で!)の他、何を食べたか、誰と会ったか、誰から手紙が来たか、何をいくらで買ったかなどが、事細かに出て来て、大変面白いです。

 

(2022、9、27)