永井荷風の『断腸亭日乗』(岩波文庫)」の下巻を読んでいて気になったのは、
「夕餉(ゆうげ)を飰す」「夕餉を飯す」「夕餉を喫す」
という言葉。しょっちゅう出て来ます。全部意味は、
「夕飯を食べる」
ですが、最初の難しい漢字のは、
「飰(はん)す」
と読み、「飯」の異体字だと思いますが、
今はあまり、
「飯す」
とは言いませんよね。
いずれにせよ、混在しているこの漢字の「使い分け」は、どうやってしていたのか?意味の違いはあるのでしょうか?
また、
「夕餉を喫す」
のほうは「喫茶店」「喫煙」の「喫」ですから、これも「食べたり飲んだり」するのでしょうが、どちらかというと、
「のむ」
ほうに重点が置かれたのかな?と。食事は軽い感じ。喫茶店でも同じでしょう。
これ以外に、
「食す」
も出て来ます。
「日乗」=「日記」
なので、天気や気温(「華氏」で!)の他、何を食べたか、誰と会ったか、誰から手紙が来たか、何をいくらで買ったかなどが、事細かに出て来て、大変面白いです。
(2022、9、27)


