8663「予行練習・予行演習」

2022 . 9 . 6

8663

 

 

8月22日、東京・渋谷で、見知らぬ母子を包丁で刺した15歳の中学3年女子が逮捕されました。調べに対して、

「予行練習だった」

と話していたそうです。この、

「予行練習」

という言葉、私たち世代は、

「予行演習」

と言っていた覚えがありますが、最近は「練習」なのでしょうか?

これに関しては、2016年の5月にも同じような疑問が出たことがありました。お天気キャスターが放送で、

「予行練習」

という言葉を使ったところ、

「それは間違いだ。正しくは『予行演習』だ」

というご意見が、かなり寄せられたのです。その際に、国語辞典を引きました。

すると、『三省堂国語辞典・第七版』は「予行」の欄の用例に、

「予行演習」「予行練習」

の両方を載せていましたし、ウェブ版「毎日新聞ことばのコラム」(2012年10月27日)には、

「『日本国語大辞典』に、野坂昭如『アメリカひじき』(1967年)で『予行練習』が使われていることから、『演習』『練習』の両方認めている」

と書かれていました。

その年の5月に開かれた「新聞用語懇談会春季合同総会」で、各社に聞いてみたところ、

「若い記者は『予行練習』違和感がないようだ。」

「『演習』は『郡軍事的色彩』があったので好まれなくて『予行練習』になってきたのではないか。」

「学校関係では『予行練習』という言葉を使っているのではないか?」

「国会図書館で調べた軍事文献には『射撃予行“練習”より実施』『予行“演習”』と混在していた」

「地域差もあるのではないか?秋田・静岡は『予行練習』だった」

「山口県は『予行演習』だった」

「子どもの学校のHPを見たら、体育祭・卒業式は『演習』も『練習』もなく『予行』となっていた。」

「『演習』は軍事に限る訳ではなく、大学の基礎の後は『演習室』でゼミなどを行っていた。」

などの意見が出ました。その当時のグーグル検索(2016年5月24日)では、

「予行演習」=42万3000件

「予行練習」=49万6000件

「予行」  =40万0900件

と、拮抗していました。

6年経って検索してみたら(2022年9月5日)

「予行演習」= 71万1000件

「予行練習」= 94万8000件

「予行」  =238万0000件

でした。

 

(2022、9、5)