8月22日、東京・渋谷で、見知らぬ母子を包丁で刺した15歳の中学3年女子が逮捕されました。調べに対して、
「予行練習だった」
と話していたそうです。この、
「予行練習」
という言葉、私たち世代は、
「予行演習」
と言っていた覚えがありますが、最近は「練習」なのでしょうか?
これに関しては、2016年の5月にも同じような疑問が出たことがありました。お天気キャスターが放送で、
「予行練習」
という言葉を使ったところ、
「それは間違いだ。正しくは『予行演習』だ」
というご意見が、かなり寄せられたのです。その際に、国語辞典を引きました。
すると、『三省堂国語辞典・第七版』は「予行」の欄の用例に、
「予行演習」「予行練習」
の両方を載せていましたし、ウェブ版「毎日新聞ことばのコラム」(2012年10月27日)には、
「『日本国語大辞典』に、野坂昭如『アメリカひじき』(1967年)で『予行練習』が使われていることから、『演習』『練習』の両方認めている」
と書かれていました。
その年の5月に開かれた「新聞用語懇談会春季合同総会」で、各社に聞いてみたところ、
「若い記者は『予行練習』違和感がないようだ。」
「『演習』は『郡軍事的色彩』があったので好まれなくて『予行練習』になってきたのではないか。」
「学校関係では『予行練習』という言葉を使っているのではないか?」
「国会図書館で調べた軍事文献には『射撃予行“練習”より実施』『予行“演習”』と混在していた」
「地域差もあるのではないか?秋田・静岡は『予行練習』だった」
「山口県は『予行演習』だった」
「子どもの学校のHPを見たら、体育祭・卒業式は『演習』も『練習』もなく『予行』となっていた。」
「『演習』は軍事に限る訳ではなく、大学の基礎の後は『演習室』でゼミなどを行っていた。」
などの意見が出ました。その当時のグーグル検索(2016年5月24日)では、
「予行演習」=42万3000件
「予行練習」=49万6000件
「予行」 =40万0900件
と、拮抗していました。
6年経って検索してみたら(2022年9月5日)
「予行演習」= 71万1000件
「予行練習」= 94万8000件
「予行」 =238万0000件
でした。


