8620「肉感がすごい」

2022 . 8 . 4

8620

 

 

8月3日の日本テレビ「スッキリ」で、スタジオでハンバーガーの試食をしていました。

その時に女性コメンテーターが、

「肉感(にくかん)がすごい」

と言ったのが耳に留まりました。

グラマーな(死語か?つまり「スタイルの良い」)女性を指して、

「肉感的」

とは言いますが、この場合はおそらく、

「肉のボリュームがあること」

を指しているのではないでしょうか?つまり、

「肉の質感」

の意味ではないか。何となく意味は伝わりますが。

「肉」に関しては最近、

「肉々しい」

という言葉もよく使われます。これは何と「三省堂国語辞典・第八版」「明鏡国語辞典・第三版」には載っています。(「三省堂国語辞典」も「第七版」には載っておらず、「明鏡国語辞典」も「第二版」には載っていません。「新明解国語辞典・第八版」「新選国語辞典・第十版」にも載っていません。)この「肉感すごい」も、同じような意味なのでしょうか?

味の表現としてこれは成り立っているのでしょうかね?

「広辞苑」で「肉感(にくかん)」を引くと、

  • 肉体に起こる感じ。(2)性欲にうったえる感じ→「にくかんてき(肉感的)」

とあり、その「にくかんてき(肉感的)」を引くと、

「肉体に魅力のあるさま。性欲をそそるさま。(例)肉感的な体つき」

とありました。(でもこれ、「男性」に対しては使わないんじゃないかな?)

「性欲をそそる」

のであって、

「食欲をそそる」

のではないのです。

「肉々しい」を載せている「三省堂国語辞典・第八版」も、この意味での「肉感」は載せていませんでしたが、「広辞苑」と違い「にくかん」は「空見出し」で、「本見出し」は「にっかん」でした。「第七版」は「にくかん」が「本見出し」で、「にっかん」は「空見出し」でしたから、今回の海底(2022年1月)で入れ替わっています。

いずれにせよ、

「これぞ『肉』という感じ。肉々しい」

の意味の「肉感」は、まだ辞書に載る言葉ではないようです。

 

(2022、8、3)