「かんさい情報ネットten.」の前身の「ニューススクランブル」時代からのスタッフのМ君に、
「ちょっと、よろしいですか?」
と言われました。そして、
「あの、『タンバリン』と『タンブリン』は、どっちが正しいんでしょうか?」
と聞かれました。
「うーん、一般的には『タンバリン』だけど、両方あるんじゃないの?」
と答えました。私は「タンバリン」派ですが。
そして手元にある用語集などを引いてみたところ、
『新聞用語集2007年版』=タンバリン
『毎日新聞用語集・改訂新版』(2007)=タンバリン
でしたが、
『NHK日本語発音アクセント新辞典』(2016)=見出し「タンバリン」(許容「タンブリン」)
で「タンブリン」が出て来て、
『朝日新聞の用語の手引・改訂新版』(2019)=タンバリン、タンブリン
『読売スタイルブック2020』=タンバリン、タンブリン
『共同通信記者ハンドブック第14版』)(2022)=タンバリン、タンブリン
『新聞用語集2022年版』=タンバリン、タンブリン
と、ここ3年ほどに出たものは、全て、
「タンバリン、タンブリンを併記」
しているではないですか!ということは、昔は「タンバリン」だったけど、最近は「タンブリン」も、出てきているということ?М君に聞くと、
「文部科学省に取材したら、音楽の教科書は『タンブリン』だって言うんです」
「えー、そうなの?いつから」
「それが・・・『昔から』と」
ほんまかいな!?
国語辞典も引いてみましょう。「見出し」で2つに分類しました。
「*」は「空見出し」です。
【タンバリン】(19+*1=20)
新明解国語辞典(3版・1985)
新明解国語辞典(4版・1992)
新明解国語辞典(5版・2000)
新明解国語辞典(6版・2005)
新明解国語辞典(7版・2012)
新明解国語辞典(8版・2020)
三省堂国語辞典(6版・2008)
三省堂国語辞典(7版・2014)
三省堂国語辞典(8版・2022)
精選版日本国語大辞典(2006)
広辞苑(6版・2008)
広辞苑(7版・2018)
現代国語例解辞典(5版・2016)
NHK日本語発音アクセント新辞典(2016)
大辞林(4版・2019)
岩波国語辞典(8版・2019)
三省堂現代新国語辞典(6版・2019)
明鏡国語辞典(3版・2021)
デジタル大辞泉(電子辞書)
*新選国語辞典(9版・2011)
【タンブリン】(3+*11=14)
新選国語辞典(9版・2011)
新選国語辞典(10版・2022)
NHK日本語発音アクセント新辞典(2016)
*デジタル大辞泉(電子辞書)
*大辞林(4版・2019)
*新明解国語辞典(3版・1985)
*新明解国語辞典(4版・1992)
*新明解国語辞典(5版・2000)
*新明解国語辞典(6版・2008)
*新明解国語辞典(7版・2012)
*新明解国語辞典(8版・2020)
*三省堂国語辞典(6版・2008)
*三省堂国語辞典(7版・2014)
*三省堂国語辞典(8版・2022)
とう結果でした。
「主見出しだけ」ならば、
「タンバリン:タンブリン」=「19:3」
「空見出しも入れる」と、
「タンバリン:タンブリン」=「20:14」
同じ辞書の「版違い」を除くと、
「タンバリン:タンブリン」=「12:6」
で、いずれにせよ「タンバリン」が優勢です。
『精選版日本国語大辞典』(2006)の用例は、『舶来後便覧』(1912)でしたから、その頃は、やはり「タンバリン」だったのでしょう。
『新明解国語辞典』は私が持っている一番古い「第3版」の出た「1985年」から「タンバリン」が「主見出し」ですが、「タンブリン」も「空見出し」で出し続けていますから、その頃から「タンブリン」もあったのでしょう。
そして、『三省堂現代新国語辞典』(6版・2019)は、「タンバリン」しか見出しを立てていませんでしたが、その語釈の中にこう記されていました。
「学校の音楽教科書では、『タンブリン』という言い方が使われる」
これかあ!
今後は「タンブリン」が、もっと増えるのかもしれませんね。
そういえば、くじらいいく子さんの病院を舞台にした漫画で、主人公の男性看護師が、
「丹波倫太郎」
という名前で、その「あだ名」から採ったタイトルが、
「いとしのタンバリン」
という漫画があったなあ。「タンブリン」だと、
「丹部倫太郎」
になっちゃうなあ、主人公の名前が。


