8557「タンバリンか?タンブリンか?」

2022 . 7 . 6

8557

 

「かんさい情報ネットten.」の前身の「ニューススクランブル」時代からのスタッフのМ君に、

「ちょっと、よろしいですか?」

と言われました。そして、

「あの、『タンバリン』と『タンブリン』は、どっちが正しいんでしょうか?」

と聞かれました。

「うーん、一般的には『タンバリン』だけど、両方あるんじゃないの?」

と答えました。私は「タンバリン」派ですが。

そして手元にある用語集などを引いてみたところ、

『新聞用語集2007年版』=タンバリン

『毎日新聞用語集・改訂新版』(2007)=タンバリン

でしたが、

『NHK日本語発音アクセント新辞典』(2016)=見出し「タンバリン」(許容「タンブリン」)

で「タンブリン」が出て来て、

『朝日新聞の用語の手引・改訂新版』(2019)=タンバリン、タンブリン

『読売スタイルブック2020』=タンバリン、タンブリン

『共同通信記者ハンドブック第14版』)(2022)=タンバリン、タンブリン

『新聞用語集2022年版』=タンバリン、タンブリン

と、ここ3年ほどに出たものは、全て、

「タンバリン、タンブリンを併記」

しているではないですか!ということは、昔は「タンバリン」だったけど、最近は「タンブリン」も、出てきているということ?М君に聞くと、

「文部科学省に取材したら、音楽の教科書は『タンブリン』だって言うんです」

「えー、そうなの?いつから」

「それが・・・『昔から』と」

ほんまかいな!?

国語辞典も引いてみましょう。「見出し」で2つに分類しました。

「*」は「空見出し」です。

 

【タンバリン】(19+*1=20)

新明解国語辞典(3版・1985

新明解国語辞典(4版・1992

新明解国語辞典(5版・2000

新明解国語辞典(6版・2005

新明解国語辞典(7版・2012

新明解国語辞典(8版・2020

三省堂国語辞典(6版・2008

三省堂国語辞典(7版・2014

三省堂国語辞典(8版・2022

精選版日本国語大辞典(2006

広辞苑(6版・2008

広辞苑(7版・2018

現代国語例解辞典(5版・2016

NHK日本語発音アクセント新辞典(2016

大辞林(4版・2019

岩波国語辞典(8版・2019

三省堂現代新国語辞典(6版・2019

明鏡国語辞典(3版・2021

デジタル大辞泉(電子辞書)

*新選国語辞典(9版・2011

 

【タンブリン】(3+*11=14)

新選国語辞典(9版・2011

新選国語辞典(10版・2022

NHK日本語発音アクセント新辞典(2016

*デジタル大辞泉(電子辞書)

*大辞林(4版・2019

*新明解国語辞典(3版・1985

*新明解国語辞典(4版・1992

*新明解国語辞典(5版・2000

*新明解国語辞典(6版・2008

*新明解国語辞典(7版・2012

*新明解国語辞典(8版・2020

*三省堂国語辞典(6版・2008

*三省堂国語辞典(7版・2014

*三省堂国語辞典(8版・2022

 

とう結果でした。

「主見出しだけ」ならば、

「タンバリン:タンブリン」=「19:3」

「空見出しも入れる」と、

「タンバリン:タンブリン」=「20:14」

同じ辞書の「版違い」を除くと、

「タンバリン:タンブリン」=「12:6」

で、いずれにせよ「タンバリン」が優勢です。

『精選版日本国語大辞典』(2006)の用例は、『舶来後便覧』(1912)でしたから、その頃は、やはり「タンバリン」だったのでしょう。

『新明解国語辞典』は私が持っている一番古い「第3版」の出た「1985年」から「タンバリン」が「主見出し」ですが、「タンブリン」も「空見出し」で出し続けていますから、その頃から「タンブリン」もあったのでしょう。

そして、『三省堂現代新国語辞典』(6版・2019)は、「タンバリン」しか見出しを立てていませんでしたが、その語釈の中にこう記されていました。

「学校の音楽教科書では、『タンブリン』という言い方が使われる」

これかあ!

今後は「タンブリン」が、もっと増えるのかもしれませんね。

そういえば、くじらいいく子さんの病院を舞台にした漫画で、主人公の男性看護師が、

「丹波倫太郎」

という名前で、その「あだ名」から採ったタイトルが、

「いとしのタンバリン」

という漫画があったなあ。「タンブリン」だと、

「丹部倫太郎」

になっちゃうなあ、主人公の名前が。

 

(2020、7、6)