私が所属している男声合唱団で、「さだまさし」さんの曲、
「夢見る人」
を歌いました。その曲の冒頭に、
「ゆくりなく人は出会い」
という歌詞が出てきます。この、
「ゆくりなく」
という言葉を『広辞苑』を引くと意味は、
「思いがけず。偶然に」
例文が、
「ゆくりなくパリで再会した」
パリか!なんかオシャレ!
『三省堂国語辞典』は、
「(文)思いがけなく(も)。(例)ゆくりなく旧友に出あった」
で、「旧友」と出会っています。
『明鏡国語辞典』では、
「(古風)思いがけなく。不意に。(例)ゆくりなく(も)旧友と再会した」▽形容詞「ゆくりない」の連用形から。」
と、これも「旧友」と「ゆくりなく」再会しています。なるほど。「も」が付いた、
「ゆくりなくも」
の形もあるのか。これは、
「はからずも」
と似ていますね。
『新明解国語辞典』は、さらに詳しく、
『(「ゆくり」は、突然の意の上代語。「なく」は、形容詞を形づくる接辞「なし」の連用形)(一般に「―も」の形で)「思いがけなくも」の意を表わす、やや古風な表現。(例)「旅先で昔の友人に会いゆくりなくも思い出話をする機会を得た」「ゆくりなくも耳にしたお国言葉に心がなごんだ。」
ということでした。
さだまさしの曲を歌う機会を得たことで、ゆくりなくも「ゆくりなく」という言葉に触れることができました。
(2022、7、11)


