8585「蚕・生糸・禿・お稚児さんのアクセント」

2022 . 7 . 20

8585

 

 

6月30日と7月1日の在阪他局のお昼のニュースを見ていたら、この時期らしいニュースが2本、流れていました。

・「蚕」から「生糸」を取るニュース

・祇園祭の「禿(かむろ)」と呼ばれる「お稚児さん」のニュース

です。両方、若い男性のアナウンサーが読んでいましたが、これらの単語の「アクセント」が気になりました。

「蚕(カ/イコ)」「生糸(キ/イト)」

と共に「平板アクセント」だったのです。

NHK日本語発音アクセントト新辞典』を引いて確認してみたら、やはり、

「蚕(カ\イコ)」「生糸(キ\イト)」

「頭高アクセント」しか載っていませんでした。

まあ、わかります。「蚕」も「生糸」も「養蚕」も、大体、

「糸へン」=「繊維産業」

関連に触れることが、今の私たちは少なくなっているからです。もう12年前の「2010年」に29年間ぶりに改訂された「常用漢字表」で、それまでの漢字から削られたのは、たった「5字」しかなかったのですが、それは、

「勺」「錘」「銑」「脹」「匁」

の「5字」でした。

戦後すぐに「当用漢字」が定められたころには、よく使われた漢字が削減されました。

その中には、「糸へん」=「繊維産業」の「紡績」で使われた、

「錘」

も含まれていました。他は「鉄鋼」関連の「銑鉄」の「銑」や、「膨脹」の「脹」は「張」で代用され、「勺」「匁」という単位は使われなくなってしまったということがありました。仕方ないと言えば、仕方ない。

しかし、「蚕」「生糸」のアクセントが分からなければ(知らなければ)、アクセント辞典を引けばいいのに、と思いました。

また、祇園祭の「禿」も「アクセント辞典」には、

「カ/ムロ」

という「平板アクセント」しか載っていませんでした。

「カ\ムイ」

と間違えたのかな?さらに「さん」は付いていませんが「お稚児」も、

「オ/チゴ」

「平板アクセント」で載っていました。「さん」を付けたら標準語では、

「オ/チゴサン」

でしょう、ただ「関西弁アクセント」だと、

「オ/チ\ゴサン」

という「中高アクセント」も「あり」かもしれません。

いずれにせよ、自分でアクセント辞典を引いて確認するということを、「他山の石」として実行したいものです。先輩も、いつまでも教えてくれないよ。

 

(2022、7、19)