8508「キーウの大門、ディナモ・キーウ、キーウ公国」

2022 . 6 . 2

8508

ウクライナの首都、

「キーウ」

が、それまでの「ロシア語読み」の、

「キエフ」

から「ウクライナ語読み」の「キーウ」に、ほぼ一斉に変わったのは、

「3月31日」

のことでした。昨今のロシアの「ウクライナへの侵攻」の様子から、

「ウクライナの地名が『ウクライナ語読み』になる」

のは分かりますが、「全てのウクライナの地名」が「ウクライナ語読み」になったかというと、新聞・テレビ・通信社、各社で微妙に違います。それはそれで、各社に事情があるのでしょう。

私が気になっていたのは、

「歴史上の出来事などの呼び名」

「芸術作品の名前やスポーツチームの名前」

に関して、これまで「キエフ」としてきたものが、全て「キーウ」に変わるのか?という点です。

例えば、「ウクライナ」というか「ロシアの元になった国」の名前は、

「キエフ公国」

と呼ばれてきました。これも、

「キーウ公国」

になるのか?

また、ムソルグスキー作曲の「展覧会の絵」の中に、

「キエフの大門(だいもん)」

という曲がありますが、これも、

「キーウの大門」

になるのか?また、ソ連時代にバロンドールを取った名選手「オレグ・ブロヒン」を擁した強豪サッカーチーム、

「ディナモ・キエフ」

も同様に、

「ディナモ・キーウ」

になるのか?まあ、「ディナモ・キエフ」の場合は、「現在のチーム名」は「ディナモ・キーウ」と呼ぶようになるでしょうけれど、「1970年代のチーム名」も遡って「ディナモ・キーウ」になるのか?という問題です。同じチームではあるのですが。

これに関しては、まず「5月6日」の「産経新聞・夕刊」(大阪版)に「共同通信」の配信で、

「スポーツ界 ロシア制裁で深まる分断」

というタイトルの記事の中で、

「強豪のディナモ・キーウやシャフタル・ドネツク」

ろ「ディナモ・キーウ」が出て来て、写真のキャプションにも、

「ドルトムントとディナモ・キーウの平和を求める親善試合を前に『STOP WAR(戦争をやめろ)』の横断幕を掲げる選手ら」

と記されていました。現在のサッカーチームの名前は、共同通信は「ディナモ・キーウ」に変えていました。

また、作家の中川右介さんが「5月11日」に聴きに行かれた「上原彩子ピアノリサイタル」のプログラムの「展覧会の絵」の解説で、

「第10曲 キーウの大門」

と記されているのをフェイスブックにアップされていました。

そして「5月14日」、「日本経済新聞」に連載されている佐藤賢一氏の「王の綽名(あだな)」というコラムの本文で、

「東スラヴ人の国家、キーウ公国」

見出しでは、

「『聖大公』キーウ大公ウォロディーミル1世」

というように、

「キーウ公国」「キーウ大公」

が出てきました。

 

(2022、6、1)