8517「過半数」

2022 . 6 . 9

8517

 

 

6月6日の「ミヤネ屋」で、放送前にディレクターから、

「『日本の個人資産2023兆円の半分以上=1092兆円』という場面で、『過半数』という言葉を使ってもいいですか?」

という質問を受けました。最初は軽く、

「いいんじゃないの?意味の上では」

と答えたのですが、念のため辞書を引いてみたところ、「過半数」は、

「人数」「票数」

の用例しか出て来ないのです。そして『精選版日本国語大辞典』の用例も、

「1880年代」

つまり「明治時代」になってからでした。だとすると、

「『過半数』は『英語の翻訳語』なのではないか?」

と思いました。

逆に、英語で「過半数」は何と言うのか?和英辞典を引いてみました。すると、

「majority(マジョリティー)」

と出てきました。つまり、

「多数派」

ですね。やはり「過半数」は「民主主義関連」の言葉か。そうだとすると、

「『単なる金額』に『過半数』を使うのは、なじまない」

ということになります。そこで、表現を

×「過半数」→〇「その半分に当たる」

に変えてもらったのでした。

 

(2022、6、8)