『人新世(ひとしんせい)の「資本論」』(斎藤幸平、集英社新書:2020、9、22第1刷・2021、9、14第15刷)

2022 . 6 . 29

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著者は1987年生まれ、出版時は「大阪市立大学」大学院経済学部准教授。この4月から「大阪公立大学」か。ドイツのベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了の哲学博士。専門は経済思想・社会思想。ということで「哲学」的な話や、かなり専門的な話で370ページもあって分厚いし、相当難しい。「200ページぐらいにしてくれたらいいのに」と、途中で思った。

しかしこの難しい本が、買った当時で(帯によると)「34万部」を突破するベストセラーになり「2021年新書大賞の第1位」になったということで、読んでおかなくちゃと思って買ったのだが、

「こんなに難しい本を読んで理解している人が34万人もいるとは!」

「本当にみんな理解しているの?」

という驚きと疑問が沸いた。

「資本論」

は言うまでもなく、マルクスとエンゲルスによる著作だが、それが21世紀の現代の目線で読み解くとどうなるのか?という話。

昨今言われる「SDGs」=持続可能な社会の建設を、本当にやろうと思ったら、「新資本主義による経済」、いや、右肩上がりの経済成長を常に求める「資本主義経済」そのものを放棄しなければならないと思うので、「金儲けのにおい」がする昨今の「SDGs」には「うさん臭さ」を感じているが、これを読むと、「やっぱり」と思う。

「犠牲を不可視化する外部化社会」(30ぺージ゙)

などは、「そういうことだよなあ」と思わざるを得ない。

論文なので、全体的に繰り返しも多い。やはり370ページを200ページぐらいにスリム化してくれた方が、読みやすいのになあと思いました。

 

 

(2022、6、13読了)