令和ことば事情8541「三足のわらじ」で、
「最近は大谷翔平選手の『二刀流』が流行して、『二足のわらじ』の代わりに使われることが多いですが、さすがに『3』となると『わらじ』に戻るのでしょうかね?」
と書いた舌の根も乾かないうちに、これを見つけました。
5月23日、ネット記事「AERA dot.」にこんな見出しが。
「板野朋美の“四刀流”がすごい!
タレント・母・社長・プロ野球選手の妻を完璧にこなせる理由」
「四足のわらじ」
ではなく、大谷翔平選手もビックリの、
「四刀流」
です。「二刀流」という表現があふれすぎて、もっと強調しようとして、「三刀流」を飛び越しての「四刀流」。「刀」って「四本」も持って戦えるのかな?一体「何刀流」まで出て来るんでしょうかね?「〇刀流」のインフレ状態です。
しかし、普通の女性も「妻」と「母」はこなしているのでは?その上で「仕事」をしている人も数多くいるので、多くの女性は、
「三刀流」
となってしまうのではないのか?と思いました。
そもそも「二足のわらじ」は本来、
「警官と泥棒」
のような、
「相反する二つの職業に就くこと」
を指したので、単に「職業の種類」だけを表すには「〇刀流」のほうがいいのかもしれませんね。
そして、「〇足のわらじ」「〇刀流」で表されるものは「職業(仕事)の種類」に加えて、特に女性の場合は、「妻」「母」といった、
「家庭での役割」
も加わるケースが多いように感じます。男性だと「夫・父親」は加えないのでは?
これは、「女性の社会進出」が進んできたことと共に、「家庭内での役割が『仕事』として認識されてきた」からかもしれませんね。
(2022、6、27)


