6月9日、「ミヤネ屋」の原稿をチェックしていたら、
「部屋は煙まみれ」
という言葉が出て来て違和感を覚えました。すぐに、
「部屋は煙に包まれた」
と直しましたが、なぜ「煙まみれ」がおかしいのかを考えました。
「煙」は「気体」です。一方、「まみれ」は、
「泥」「ペンキ」「血」「汗」「絵具」
などの、
「粘り気を持つ液体・固体で、かつ、それにまみれることは尋常ではない場合」
に使うのでしょう。「まみれる」は漢字で書くと、
「塗れる」
つまり「ぬる」のですから、あるものの垂直な表面にくっつけても剥がれ落ちない、「ある程度粘り気があることが必要」になってきます。そして「まみれる」のは、
「人、人体」
ですね。ただ、
「ウソまみれ」
という表現がありますが、これは「比喩表現」でしょうね。「ウソ」は「粘着性のある液体」かと言われると、そうではない。いや、もしかしたら、そんな性質があるのかも。
『広辞苑』を引いたら、
*「まみれる」=からだなどの一面に粉状や液状のものが付いて汚れる。まぶる。(例)血にまみれたる男」「ほこりにまみれた机」「一敗地にまみれる」
とありました。そうか、
「汚れる」
という要素も必要ですね。『三省堂国語辞典』は、
*「まみれる」(1)(血・汗・どろ・ほこりなどが)いちめんについて表面をおおった状態になる。(例)「どろにまみれる」(2)のぞましくないものに身をおおわれる。(例)「借金にまみれる」「汚辱にまみれる」→「一敗地にまみれる」
なるほど、やはり比喩的なものは(2)の意味として捉えていたのですね。「一面に」というところもポイントですね。
勉強になりました。
(2022、6、9)


