8518「煙まみれ」

2022 . 6 . 9

8518

 

6月9日、「ミヤネ屋」の原稿をチェックしていたら、

「部屋は煙まみれ」

という言葉が出て来て違和感を覚えました。すぐに、

「部屋は煙に包まれた」

と直しましたが、なぜ「煙まみれ」がおかしいのかを考えました。

「煙」は「気体」です。一方、「まみれ」は、

「泥」「ペンキ」「血」「汗」「絵具」

などの、

「粘り気を持つ液体・固体で、かつ、それにまみれることは尋常ではない場合」

に使うのでしょう。「まみれる」は漢字で書くと、

「塗れる」

つまり「ぬる」のですから、あるものの垂直な表面にくっつけても剥がれ落ちない、「ある程度粘り気があることが必要」になってきます。そして「まみれる」のは、

「人、人体」

ですね。ただ、

「ウソまみれ」

という表現がありますが、これは「比喩表現」でしょうね。「ウソ」は「粘着性のある液体」かと言われると、そうではない。いや、もしかしたら、そんな性質があるのかも。

『広辞苑』を引いたら、

*「まみれる」=からだなどの一面に粉状や液状のものが付いて汚れる。まぶる。(例)血にまみれたる男」「ほこりにまみれた机」「一敗地にまみれる」

とありました。そうか、

「汚れる」

という要素も必要ですね。『三省堂国語辞典』は、

*「まみれる」(1)(血・汗・どろ・ほこりなどが)いちめんについて表面をおおった状態になる。(例)「どろにまみれる」(2)のぞましくないものに身をおおわれる。(例)「借金にまみれる」「汚辱にまみれる」→「一敗地にまみれる」

なるほど、やはり比喩的なものは(2)の意味として捉えていたのですね。「一面に」というところもポイントですね。

勉強になりました。

 

(2022、6、9)