8481「広げるか広めるか?」

2022 . 5 . 26

8481

 

 

5月25日の「ミヤネ屋」の原稿の中に、

「“コロナ”の感染を広めた可能性」

というのが出てきました。それを見て、「ちょっと待てよ。」と。これは、

「広めた」

ではなくて、

「広げた」

ではないのか?と思ったのです。つまり、

「広める」「広げる」

の違いはどういったところか?というものです。

この場合の「感染」は「広げる」ですね。「広げる」は、

「物理的な範囲」

を示している気がします。「被害を広げる」「勢力範囲(支配地域)を広げる」「風呂敷を広げる」「スカートのすそが広がる」など。

それに対して、「広める」は、

「思想・教え・教育」

など「内容」に関して使う気がします。「仏教(キリスト教・イスラム教)の教えを広める」「LGBTQへの理解を広める」「憲法九条の精神広める」「変な噂が広まる」など。

「広い」の反対は「狭(せま)い」なので、「狭い」で考えると、

「狭(せば)める」「狭(せば)まる」

とは言いますが(「せまい」の「ま」が「ば」に変わるんだ!)、

「狭げる」「狭がる」

とは言わず、

「狭くする」「狭くなる」

というように「形容詞(連用形)+する・なる」の形ですね。

似たような言葉で考えると、

「高める・高まる」

は言いますが、

「高げる・高がる」

とは言いませんね。

文語では、

「広める」=広む

「広げる」=広ぐ

なのかな。

ということは、語幹が「形容詞」の場合は、「める」「まる」が付くけれど「げる・がる」は付かない。「げる・がる」が付くのは「動詞」ということか。

「広める・広まる」の「広」は「形容詞」だけど、

「広げる・広がる」の「広」は「動詞」(広げる)の語幹だということか!

うーん、奥が深い!

ということで、

×「感染を広めたら」→〇「感染を広げたら」

と直しました。

 

 

(2022、5、25)