8453「唱歌」

2022 . 5 . 9

8453

 

 

4月21日の読売テレビのお昼のニュースで、

「水ばしょう」

を取り上げていました。その中で、

「『夏が来れば思い出す』の唱歌でも知られる『水ばしょう』は」

と出て来て、おや?っと思いました。「夏が来れば思い出す」の歌いだしの曲は、

「夏の思い出」

で、江間章子作詞・中田喜直作曲。たしか、

「戦後に作られた曲」

ではないか。

その意味では「唱歌」ではないのではないか?と思ったのです。

調べてみると、

「唱歌」=「文部省唱歌」

で、

「1910年~1944年に作られた曲を指す」

「1941年(昭和16年)以前の曲」

と少し年代は違いますが、どちらも、

「戦前(終戦前)」

ということは共通していますね。

これに対して「夏の思い出」は、

「1949年(昭和24年)」

に作られた「ラジオ歌謡」だったのです。

「1910年」

というのは「韓国併合」の年。つまり「唱歌」を通じて植民地の人々をも、

「新たな故郷・日本に同化させるための手段」

として、

「音楽=唱歌」

が使われたのではないでしょうか?

逆に、戦後の「ラジオ歌謡」は、

「アメリカ占領下で民主主義教育の一環」

として使われたのではないでしょうか?そういった「隠された意図」も見えてきました。

過去に読んだ本にも、それに関する記述がありました。2010読書日記221に書いた、

『唱歌と国語~明治近代化の装置』(山東功、講談社選書メチエ:2008)

です。それによると、

*徳目主義は結果的に、唱歌が装置化する誘因として機能した

*『幼年唱歌』が刊行された1900(明治33)年は、「国語」が小学校教科として成立した年。日清・日露戦争の間(はざま)。

*南方で歌われていた『アイウエオの歌』。1945年公開の幻のアニメ『桃太郎 海の新兵』の中で歌われている。手塚治虫が『アイウエオの歌』にヒントを得て、『ジャングル大帝』で動物達に歌わせるシーンが取り込まれた。

*「童謡」は、「唱歌」に対する抵抗運動として生まれた。だから「童謡・唱歌」と「ひとくくり」にするのは、本来おかしい。

とのことです。

「歌の力」は大きいのです。「昔の歌」ということで「ひとくくり」にしては、いけませんね。

 

(2022、5、6)