8464「大宗」

2022 . 5 . 17

8464

 

5月9日の「ミヤネ屋」で、

「ロシア原油輸入禁止」

についての岸田首相のコメントフォローテロップをチェックしていたら、

「エネルギー資源の大宗(大半)が」

というテロップが出て来ました。

「大宗(たいそう)」

というのは聞き慣れない言葉なので、ディレクターに聞くと、

「日本テレビが、お昼のニュースで、そのようにテロップを出していました」

とのいうこと。しかし「大宗」を辞書(「精選版日本国語大辞典」)で引くと、

「『大半』という意味」

は載っていなくて、

「物事のおおもと。根本。中心となるもの。また、ある分野での権威ある大家をいう」

とあるだけでした。

「たいそう」と読む他の言葉(同音異義語)をみると、

「大層」「大相」

があり、

「程度、数量などがはなはだしいさまを表す。非常に。大変。ひどく」

とあったので、元読売新聞の校閲スタッフNさんとも話して「大層」を使い、

「エネルギー資源の大層が」

としました。

放送終了後に、東京の「ミヤネ屋」デスクからの「『大宗』ではないか?」という指摘を受けて、「ミヤネ屋」のT部長が調べてくれたところによると、「2012年9月」の毎日新聞のツイッター「毎日ことば」で、この、

「『大半』の意味での『大宗(たいそう)』」

について書かれていました。

https://mainichi-kotoba.jp/blog-20120929

結論から言うと、

「辞書には載っていないし、出てくることは少ないが、官庁用語として『通商白書』などで使われたことがある」

とのことでした。ただ、国立国語研究所の過去のデータを集めた「コーパス」でも1914年~1966年まで「13件」しか出て来ないそうです。

その日のNHKニュースを見ていたら、その部分のコメントは使っていませんでした。

その後さらに調べると、「外務省のサイト」で「大宗」を使っていました。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ec/shin6_000022.html

また、国語辞典でも新しいもの、去年1月に出た『明鏡国語辞典・第三版』には、その意味で載っていました。そのほか、去年12月に出た『三省堂国語辞典・第八版』、20199月に出た『大辞林・第四版』にも載っていました。

ということで、今後もし出て来たら、意味を補って、

「大宗(大半)」

で出すことにします。ただ、「太い」の「太宗」ではなく、「大きい」の「大宗」なので、注意が必要ですね。

 

(2022、5、16)