5月9日の「ミヤネ屋」で、
「ロシア原油輸入禁止」
についての岸田首相のコメントフォローテロップをチェックしていたら、
「エネルギー資源の大宗(大半)が」
というテロップが出て来ました。
「大宗(たいそう)」
というのは聞き慣れない言葉なので、ディレクターに聞くと、
「日本テレビが、お昼のニュースで、そのようにテロップを出していました」
とのいうこと。しかし「大宗」を辞書(「精選版日本国語大辞典」)で引くと、
「『大半』という意味」
は載っていなくて、
「物事のおおもと。根本。中心となるもの。また、ある分野での権威ある大家をいう」
とあるだけでした。
「たいそう」と読む他の言葉(同音異義語)をみると、
「大層」「大相」
があり、
「程度、数量などがはなはだしいさまを表す。非常に。大変。ひどく」
とあったので、元読売新聞の校閲スタッフNさんとも話して「大層」を使い、
「エネルギー資源の大層が」
としました。
放送終了後に、東京の「ミヤネ屋」デスクからの「『大宗』ではないか?」という指摘を受けて、「ミヤネ屋」のT部長が調べてくれたところによると、「2012年9月」の毎日新聞のツイッター「毎日ことば」で、この、
「『大半』の意味での『大宗(たいそう)』」
について書かれていました。
https://mainichi-kotoba.jp/blog-20120929
結論から言うと、
「辞書には載っていないし、出てくることは少ないが、官庁用語として『通商白書』などで使われたことがある」
とのことでした。ただ、国立国語研究所の過去のデータを集めた「コーパス」でも1914年~1966年まで「13件」しか出て来ないそうです。
その日のNHKニュースを見ていたら、その部分のコメントは使っていませんでした。
その後さらに調べると、「外務省のサイト」で「大宗」を使っていました。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ec/shin6_000022.html
また、国語辞典でも新しいもの、去年1月に出た『明鏡国語辞典・第三版』には、その意味で載っていました。そのほか、去年12月に出た『三省堂国語辞典・第八版』、2019年9月に出た『大辞林・第四版』にも載っていました。
ということで、今後もし出て来たら、意味を補って、
「大宗(大半)」
で出すことにします。ただ、「太い」の「太宗」ではなく、「大きい」の「大宗」なので、注意が必要ですね。


