8409「ジェノサイド」

2022 . 4 . 6

8409

 

ロシアが、ウクライナの「ブチャ」という町で400人を超える人々を惨殺したとして、

「ジェノサイド」

という言葉が出てきます。その意味として、

「(大量虐殺)」

と書かれていることが多いです。「日本テレビ」は、4月5日のお昼の「ストレイトニュース」で、

「ジェノサイド(大量虐殺)」

とテロップを出していて、「テレビ朝日」のお昼のニュースも同様でした。

しかしこの言葉は本来、単なる「大量虐殺」ではないのです。

「NHK」の4月5日の正午のニュースでは、ナレーションで、

「民族を絶滅させる意図を持つ『ジェノサイド』」

のように言い、その言葉を使ったウクライナ・ゼレンスキー大統領のコメントの音生かしのテロップは、

「これは戦争よりひどい『ジェノサイド』だ」

となっていました。これは、正しい対応なのではないでしょうか

「精選版日本国語大辞典」で「ジェノサイド」を引くと、

*「ジェノサイド」=(英・genocide)戦争が行われた場合、ある人種や民族を計画的に抹殺したり、その生活条件を剥奪したりする政策、行為。1944年、イギリスの法学者ラファエル・レムキンが、ナチスドイツのユダヤ人迫害に対して用いた言葉。集団殺害。皆殺し」

とありました。

*「ジェノ」=(民族の)種(しゅ)。「遺伝子(ゲノム)」と語源は同じ。

*「サイド」=「殺すこと」。

つまり、単なる「大量逆殺」ではなく、

「民族を絶滅・殲滅(せんめつ)・全滅させる大量虐殺」

を言うのです。

4月5日の新聞で「ジェサイド」の意味を書いた( )の中を見たら、

【読売】(朝)集団殺害

【朝日】(朝・夕)集団殺害

【毎日】(朝・夕1面)大量虐殺、(夕・社会面)集団虐殺

【産経】(朝)集団殺害

【日経】大量虐殺

でした。

「戦争犯罪」

の要件の一つには、

「ジェノサイド(集団殺害)」

があるようですから、「集団殺害」を意味として書くことは、間違いではないかもしれませんね。

「殺害」は「客観的事実」で、「虐殺」には「感情」が入るという違いがあります。

この日の「ミヤネ屋」のテロップでは、

「ジェノサイド(民族絶滅殺りく)」

としました。

ただ、ブチャで行われた行為は、

「大量虐殺」「集団殺害」「集団虐殺」

であり、人道上、許されることではないことに、変わりはありません。

 

(2022、4、6)