ロシアが、ウクライナの「ブチャ」という町で400人を超える人々を惨殺したとして、
「ジェノサイド」
という言葉が出てきます。その意味として、
「(大量虐殺)」
と書かれていることが多いです。「日本テレビ」は、4月5日のお昼の「ストレイトニュース」で、
「ジェノサイド(大量虐殺)」
とテロップを出していて、「テレビ朝日」のお昼のニュースも同様でした。
しかしこの言葉は本来、単なる「大量虐殺」ではないのです。
「NHK」の4月5日の正午のニュースでは、ナレーションで、
「民族を絶滅させる意図を持つ『ジェノサイド』」
のように言い、その言葉を使ったウクライナ・ゼレンスキー大統領のコメントの音生かしのテロップは、
「これは戦争よりひどい『ジェノサイド』だ」
となっていました。これは、正しい対応なのではないでしょうか
「精選版日本国語大辞典」で「ジェノサイド」を引くと、
*「ジェノサイド」=(英・genocide)戦争が行われた場合、ある人種や民族を計画的に抹殺したり、その生活条件を剥奪したりする政策、行為。1944年、イギリスの法学者ラファエル・レムキンが、ナチスドイツのユダヤ人迫害に対して用いた言葉。集団殺害。皆殺し」
とありました。
*「ジェノ」=(民族の)種(しゅ)。「遺伝子(ゲノム)」と語源は同じ。
*「サイド」=「殺すこと」。
つまり、単なる「大量逆殺」ではなく、
「民族を絶滅・殲滅(せんめつ)・全滅させる大量虐殺」
を言うのです。
4月5日の新聞で「ジェサイド」の意味を書いた( )の中を見たら、
【読売】(朝)集団殺害
【朝日】(朝・夕)集団殺害
【毎日】(朝・夕1面)大量虐殺、(夕・社会面)集団虐殺
【産経】(朝)集団殺害
【日経】大量虐殺
でした。
「戦争犯罪」
の要件の一つには、
「ジェノサイド(集団殺害)」
があるようですから、「集団殺害」を意味として書くことは、間違いではないかもしれませんね。
「殺害」は「客観的事実」で、「虐殺」には「感情」が入るという違いがあります。
この日の「ミヤネ屋」のテロップでは、
「ジェノサイド(民族絶滅殺りく)」
としました。
ただ、ブチャで行われた行為は、
「大量虐殺」「集団殺害」「集団虐殺」
であり、人道上、許されることではないことに、変わりはありません。


