8407「フラットな視点」

2022 . 4 . 4

8407

 

 

4月4日の「ミヤネ屋」に出演してくれた、ウクライナの取材をしているカメラマン・児玉浩宜(ひろのり)さんが、インタビューの中で、

「フラットな視点」

という言葉を使いました。この、

「フラット」

を日本語に置き換えるとどうなるか?考えました。普通は、

「段差のないフラットな床面」

のように、

「平らな」

という意味で使われたり

「音程がちょっとフラット(♭)気味だな」

と言えば、

「ぶら下がり気味、低め」

という感じ。また、

「記録は10秒フラットでした」

と言えば、

「(10秒)ちょうど。きっかり」

の意味ですし、

「うちはこのフラットに住んでいる」

という場合は、

「マンションの、そのフロア全部」

を指します。でもこの「フラットな視点」は、それらの意味ではないですよね。

「いろいろ前提条件など知識を持ち込むことなく、考えを更地のようにして」

という感じですが、短い言葉が思いつきません。いくつか辞書を引きましたが「平らな」「音楽のフラット」等しか載っていません。ネット検索したら、

「先入観なしに」

という訳語があって、「これだ!」と思い、この日のテロップでは、

「フラットな(先入観のない)視点」

としました。

放送後に『明鏡国語辞典・第三版』『新選国語辞典・第十版』『新明解国語辞典・第八版』『大辞林・第四版』も引きましたが、載っていませんでした。

ところが『三省堂国語辞典・第八版』を引いたら、

「3番目の意味」

として、この、

「先入観なしに」

が載っていて、さすがだなと思いました。

すごいな、『三省堂国語辞典』、飯間さんは。

 

(2022、4、4)