エマニュエル・トッド氏の『老人支配国家 日本の危機』(文春新書)を読んでいたら、
「内婚」「外婚」
という言葉が出て来ました。あまり聞き慣れない言葉です。それによると、
「内婚」=「いとこ婚」
のことで、
「近親婚」
とも言われるようです。制度としては、
「内婚制」=「いとこ婚」を認める
「外婚制」=「いとこ婚」禁止
という違いがあります。「いとこ」というのは、
「孫同士」
なので、まあ、「血縁関係が濃い」ですよね。
この本によると、「内婚率」は国によって違い、
トルコ=約10%
シリア=約35%
で、「内婚率が高い社会」は、
「集団として閉じている=閉鎖的」
だそうです。そりゃそうだ。
世界で「内婚(いとこ婚)を認めている国」(=閉鎖的)は、
「日本、ヨーロッパ、オーストラリア、南米、カナダ、イラン、イラク、サウジアラビアなど中東諸国、メキシコなど中米諸国、アフリカの地中海沿岸の国など」
ですが、逆に「禁止」している(=開放的)のは、
「中国、セルビア、クロアチア、アメリカの中西部など」
です。
そして「国が閉じているか、開いているか」、つまり、
「移民を受け入れるかどうか」
に関して、移民の受け入れに必要なのは、
「多文化主義」
ではなく、
「同化主義」
だとトッド氏は記しています。移民にとって可能な未来は、
「『同化』か『隔離』しかない」
そうです。かつて「イギリスやドイツ」は、
「多文化主義(=いろんな文化がそれぞれ自立する)」
に基づき、
「移民を無理に統合させようとはせず、彼らの自主性に任せる政策」
を取ったのですが、結局、うまくいかなかったそうです。
トッド氏によると、逆に「同化主義」を採用してうまくいっているのは「フランス」。
ただ、
「教条的で高圧的で不寛容な同化主義」
は問題を起こすので、第二、第三世代にわたるような、
「時間をかけた、寛容で柔軟な同化政策でなければならない」
といいます。
なかなか難しいですね…。


