8426「内婚と外婚」

2022 . 4 . 18

8426

 

エマニュエル・トッド氏の『老人支配国家 日本の危機』(文春新書)を読んでいたら、

「内婚」「外婚」

という言葉が出て来ました。あまり聞き慣れない言葉です。それによると、

「内婚」=「いとこ婚」

のことで、

「近親婚」

とも言われるようです。制度としては、

「内婚制」=「いとこ婚」を認める

「外婚制」=「いとこ婚」禁止

という違いがあります。「いとこ」というのは、

「孫同士」

なので、まあ、「血縁関係が濃い」ですよね。

この本によると、「内婚率」は国によって違い、

トルコ=約10%

シリア=約35%

で、「内婚率が高い社会」は、

「集団として閉じている=閉鎖的」

だそうです。そりゃそうだ。

世界で「内婚(いとこ婚)を認めている国」(=閉鎖的)は、

「日本、ヨーロッパ、オーストラリア、南米、カナダ、イラン、イラク、サウジアラビアなど中東諸国、メキシコなど中米諸国、アフリカの地中海沿岸の国など」

ですが、逆に「禁止」している(=開放的)のは、

「中国、セルビア、クロアチア、アメリカの中西部など」

です。

そして「国が閉じているか、開いているか」、つまり、

「移民を受け入れるかどうか」

に関して、移民の受け入れに必要なのは、

「多文化主義」

ではなく、

「同化主義」

だとトッド氏は記しています。移民にとって可能な未来は、

「『同化』か『隔離』しかない」

そうです。かつて「イギリスやドイツ」は、

「多文化主義(=いろんな文化がそれぞれ自立する)」

に基づき、

「移民を無理に統合させようとはせず、彼らの自主性に任せる政策」

を取ったのですが、結局、うまくいかなかったそうです。

トッド氏によると、逆に「同化主義」を採用してうまくいっているのは「フランス」。

ただ、

「教条的で高圧的で不寛容な同化主義」

は問題を起こすので、第二、第三世代にわたるような、

「時間をかけた、寛容で柔軟な同化政策でなければならない」

といいます。

なかなか難しいですね…。

 

(2022、4、13)