令和ことば事情8405「侵略か?侵攻か?」の続編です。
ロシアによる、
「ウクライナ侵攻」
か、それとも
「ウクライナ侵略」
か。この前書いたように、私は「語感」としては、
「侵攻」
だと思っています。
「アフガン侵攻」「イラク侵攻」
などがありましたし、1年前の去年3月に書いたものでは、
「台湾侵攻」(令和ことば事情7983)
というのもありました。イラクの場合は、
「進攻」
もありましたが。(平成ことば事情1127「侵攻と進攻」)
でも、岸田首相は、
「侵略」
を使っていたと、後輩が言います。
国語辞典を引いてみても、今一つ、その違いがよく分かりません。そこで、
『ジーニアス和英辞典』
を引いてみました。すると、
*「侵略」
(他国への攻撃)aggression
(武力による他国への)invasion
・「侵略戦争」war of aggression
*「侵攻」invasion
・「ドイツ軍のポーランド侵攻」German’s invasion of Poland
とありました。
「invasion」という単語は「インベーダー」で知っていましたが、
「aggression」は知りませんでした。でも、
「攻撃的」=「アグレッシブ」
と同じような意味ですよね。それに、
「侵略戦争」
とは言っても、
「侵攻戦争」
とは言いません。「侵略」をするために「侵攻」するのが「戦争」なのかな。
「侵略」=目的
「侵攻」=手段
かな?
「侵攻」は「攻め入る」
「侵略」は「攻め入って略奪する」
なのかな?ここまで調べて思ったのは、「侵略」は、
「軍事的な意味以外にも使える」
ということ。たとえば、
「会社で隣の机の後輩が、侵略して来た」
などと使うことはありますよね。これは、
「侵攻して来た」
と置き換えることはできませんね。つまり「侵略」のほうがカテゴリーが広く、その中の、
「軍事的侵略」=「侵攻」
なのかもしれませんね。


