8408「侵略か?侵攻か?2」

2022 . 4 . 5

8408

 

令和ことば事情8405「侵略か?侵攻か?」の続編です。

ロシアによる、

「ウクライナ侵攻」

か、それとも

「ウクライナ侵略」

か。この前書いたように、私は「語感」としては、

「侵攻」

だと思っています。

「アフガン侵攻」「イラク侵攻」

などがありましたし、1年前の去年3月に書いたものでは、

「台湾侵攻」(令和ことば事情7983)

というのもありました。イラクの場合は、

「進攻」

もありましたが。(平成ことば事情1127「侵攻と進攻」)

でも、岸田首相は、

「侵略」

を使っていたと、後輩が言います。

国語辞典を引いてみても、今一つ、その違いがよく分かりません。そこで、

『ジーニアス和英辞典』

を引いてみました。すると、

*「侵略」

(他国への攻撃)aggression

(武力による他国への)invasion

・「侵略戦争」war of aggression

 

*「侵攻」invasion

・「ドイツ軍のポーランド侵攻」German’s invasion of Poland

 

とありました。

invasion」という単語は「インベーダー」で知っていましたが、

aggression」は知りませんでした。でも、

「攻撃的」=「アグレッシブ」

と同じような意味ですよね。それに、

「侵略戦争」

とは言っても、

「侵攻戦争」

とは言いません。「侵略」をするために「侵攻」するのが「戦争」なのかな。

「侵略」=目的

「侵攻」=手段

かな?

「侵攻」は「攻め入る」

「侵略」は「攻め入って略奪する」

なのかな?ここまで調べて思ったのは、「侵略」は、

「軍事的な意味以外にも使える」

ということ。たとえば、

「会社で隣の机の後輩が、侵略して来た」

などと使うことはありますよね。これは、

「侵攻して来た」

と置き換えることはできませんね。つまり「侵略」のほうがカテゴリーが広く、その中の、

「軍事的侵略」=「侵攻」

なのかもしれませんね。

 

(2022、4、5)