3月19日の「読売新聞」に、
『「キエフ」呼称巡り食い違い ウクライナ「キーウ」に/政府「確認できず」』
という見出しの記事が出ました。3月18日の自民党の会合で、佐藤正久外交部会長(ニックネーム「ヒゲの隊長」)が、ウクライナ側が2015年に、首都の名前を現在のロシア語「Kiev」に基づく「キエフ」から、ウクライナ語の「kyiv」に基づく「キーウ」に変更するよう政府に文書で求めていたことを明らかにしたのですが、林外相は「文書を受け取ったという事実は現時点では確認されていない」と答えたという記事です。これに関して松野官房長官は、3月15日の記者会見で、
「『キーウ』は国民に定着しておらず、呼称変更の要望もない」
として、
「改称しない考え」
を示していました。
ところが。
3月23日に日本テレビから、
「3月24日の『ストレイトニュース』から、ウクライナの地名の読み方について、原則として現地語に近い読みに統一します」
という連絡が来ました。2月24日のロシア軍の侵攻当初、ウクライナの地名については、「ロシア語読み」と「ウクライナ語読み」が混在していましたが、これまで通りの「ロシア語読み」を続けると、ウクライナ側からすると、
「敵対している国側の読み方を継続する」
ことになり、日本テレビでは、できるだけ「ウクライナ語読み」に近づけるようにしたそうです。例えば、
【ロシア語読み】 →【ウクライナ語読み】
「キエフ」(首都) →「キーウ」(首都)
「ハリコフ」(第2の都市) →「ハルキウ」(第2の都市)
「オデッサ」(第3の都市) →「オデーサ」(第3の都市)
「リボフ」 →「リビウ」
「マカリフ」 →「マカリウ」
「ミコライフ」 →「ミコライウ」
「ルガンスク」(東部の都市)→「ルハンシク」(東部の都市)
「ボリスポリ」(国際空港名)→「ボリスピリ」(国際空港名)
などに変更。ただ当面は移行期間として、表記に関しては、
「キーウ(キエフ)」
のように、一度は「両方の地名を併記する」とのことになっています。そうしないと視聴者の方も混乱しますものね。ただ、「ロシア語読み」の、
「チェルノブイリ」
だけは、原発事故が「旧ソ連時代」の1986年に発生していて、発電所名が「チェルノブイリ」だったこととや、定着の度合いが他と比べものにならないことを理由に、「ウクライナ語読み」の、
「チョルノービリ」
にはせず、例外的に現行のまま「ロシア語読み」の、
「チェルノブイリ」
とすることになっていました。(その後、変更)
また、「ウクライナ語」も「ロシア語と同じ読み方」の、
「マリウポリ」「ヘルソン」「ドネツク」「ヤボリウ」「スムイ」
の各都市はこれまで通り。
また「ザポリージャ」は、既に「ロシア語読み」の、
「ザポリジエ」
から、「ウクライナ語読み」の、
「ザポリージャ」
に変更していたので、そのままです。
そして、「3月31日」、政府が正式に、
「ウクライナ語読みの採用を決めた」
ことで、その日のうちに、
「TBS・フジテレビ・テレビ朝日・テレビ東京」
が相次いで「ウクライナ語読み」を採用。
「NHK」は、4月1日の正午のニュースで「ウクライナ語読み」の「おことわり」をサラッとしていました。
新聞は、4月1日の「朝刊」で「読売新聞」と「毎日新聞」が「おことわり」を出して「ウクライナ語読み(「首都キーウ」など)を採用。
「夕刊」で「産経新聞」「日経新聞」も変更しました。
4月1日夕刊の時点で唯一、「ロシア語読み」のままだった、
「朝日新聞・夕刊」
には、
『日本政府の「キーウ」呼称変更 ゼレンスキー大統領「感謝」』
という見出しの記事が載っていたのは皮肉ですね。
あれ?これを書いた、
「金成隆一記者」
は、アメリカの「ラストトベルト」を取材して、トランプ大統領についての本『記者、ラストベルトに住む~トランプ王国、冷めぬ熱狂』『ルポトランプ王国2~ラストベルト再訪』を書いた人だ!読みました。
その「朝日新聞」も、「4月2日の朝刊」から、「ウクライナ語読み」を採用しました。
なお、「3月24日」から「ウクライナ語読み」を先行して採用していた日本テレビ系列で、例外として「ロシア語読み」をしていた「チェルノブイリ」も、政府の方針に合わせて、4月1日から、
「チョルノービリ」
に変更となりました。
「ウクライナ語読み」に変えた「読売新聞」も、4月1日夕刊で、
「チョルノービリ」
でしたが、「毎日新聞・産経新聞」は、
「チェルノブイリ」
のままでした。
また、4月7日から日本テレビ系列は、前日の「ミヤネ屋」では「ロシア語読み」で、
「ボロディアンカ」
という地名を、「ウクライナ語読み」の、
「ボロジャンカ」
に変更しました。「4月7日の夕刊」を見ると、「読売新聞」と「朝日新聞」は、
「ボロジャンカ」
で、「毎日新聞」は、
「ボロディアンカ」
と「ロシア語読み」でした。このほか「毎日新聞」は、日テレ系などが、
「オデーサ」
と「ウクライナ語読み」している黒海沿岸の街も、
「オデッサ」
と「ロシア語読み」のまま。
そのほか「産経新聞」も、我々が、
「ハリキウ」「ルハンシク」
としている地名を、
「ハリコフ」「ルガンスク」
と「ロシア語読み」していました。「日経新聞」も、
「ルガンスク」
でした。