『コレクションと資本主義~「美術と蒐集」を知れば経済の核心がわかる』(水野和夫・山本豊津、角川新書:2017、9、10)

2022 . 3 . 28

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4年半ほど前に買ってはいたものの「積ん読」になっていた一冊。

「資本主義」が行き詰まって30年にわたろうかという「デフレ不況」が続き、格差は広がる中で、岸田総理が「新しい資本主義」という言葉を旗頭にしたものの、その「新しい資本主義」が何なのか不透明で全然見えない中で、「もしや?」と私が引っかかったのが、この「コレクション」。

私が、というか水野和夫さんが、ですが。

それに私も気付いたのが4年半経ってからなんですが。

それでこの二人の対談を読む気になったのです。

なぜ「コレクション」なのか?

それは資本主義の行き詰まりは「長期金利」(国債など)を見ればわかると、水野さんは言います。長期金利が「2%」を下回ると、「投資対象がなくなった」ということで「不況」に入り、新たな「投資先」を探す。それは歴史上、何回か起きていて、特に「16世紀」においては「長い16世紀」と言われる長期不況が続き、金利が2%を下回ったのだそうです。それが新しい発明によって「陸から海へ飛び出す」ことが出来て、新しい大きな市場を開拓することができたと。21世紀の世界も「金融工学」という「新しい市場」を発見したけれども、それはバブルで「リーマンショック」で、はじけてしまった。

そんな中で次の投資先として有望なのが「美術品」なのではないか?まあ、美術品は「値段が、あってないようなもの」ですからね。「価値」を「創造」することができますものね、ブームやらなんやらで。その意味では「MMT理論」とも似ているかも。でも、それは、はじけそうな気がするけどなあ。

そして「コレクション=蒐集(しゅうしゅう)」というのは「資本主義の原点」とも言っています。

資本主義の歴史を知る上でも、新しい見方をする上でも、刺激のある一冊でした。

 

 

 

(2022、3、19読了)