『老人支配国家 日本の危機』(エマニュエル・トッド、文春新書:2021、11、20第1刷・2021、12、10第2刷)

2022 . 3 . 11

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著者、と言うか対談者の「エマニュエル・トッド」はフランスの「人口学者」だ。

「人口」という視点から、国の趨勢や世界の行く末を予想する。アメリカのトランプ大統領の当選も「予言」した。トッド本人は、トランプのような人間は大嫌いだが、それとは別にして、トランプが当選するだろうと予測した。その元になったのは、

「アメリカ白人中年男性の死亡率の上昇」

にあったという。つまり「人口の変化」ですね。そこから、世の中の動きを推測できるということだそうだ。

実は私は、大学時代には「『人口論』なんて、何の意味があるの?」と思っていた。しかし今、世界の国の動き、つまり国際政治も国内政治も、そしてもちろん経済も、「人口」との関連が非常に大きく、一番大切なものの一つであるということが、ようやく理解できる「お年頃」になった。40年ぐらいかかったんですけど。

そうしたことをずっと第一線で研究して来たトッド氏の視点から、今後の世界情勢、その中での「日本」はどうなるのか?という話は、読みたいでしょ?

そして「人口」は「男女の間」から生まれ増えていくわけですが、そのための「家族の形態・婚姻の形態」というものも重要になってくる。世界の国々での「家族の形態」を調べて分類し、それぞれの「伸びよう」を観察して、また行く末を予想できるのだ。

その「家族の形」を変えることで、もしかしたら「国の危機」を回避できるかもしれない、と。大変、興味深い話でした。

 

 

 

 

(2022、2、27読了)