8365「お持ち帰られる」

2022 . 3 . 3

8365

 

 

いつも買う漫画雑誌『モーニング』(講談社)を読んでいたら、ラブコメディーの、

『焼いてる二人』(ハナツカシオリ)

の中で、こんなセリフが出て来ました。

主人公夫婦の妻の友人女性が、「彼氏」だと思っている(彼女は「彼氏」と思っていて一見、二人は付き合っている感じだが、彼は彼女のことを「友達」だと思っていて、“彼女の片思い風の関係”)、

「みっくん」(私ではありませんby道浦)

が、友達に誘われ、人数合わせで仕方なく、

「合コン」

に出なきゃならないという状況で、彼女は妄想を膨らませて「最悪の場面」を想定して、勝手に頭を抱えます。

そこでのモノローグ風のセリフが、

「みっくんが お持ち帰られる!!」

というもの。

「“お持ち帰り”する」

は、食品だと「テイクアウト」ですが、人間(=男、あるいは女)を「食べ物」に見立てて、飲み会の帰りに、二人でどこかに“時化(しけ)込む”(この表現がもう、死語)、その際に

「(男性が女性を)お持ち帰りする」

という俗語表現がありますね。今や男女の関係が逆になって、

「(女性が男性を)お持ち帰りする」

こともあるのでしょう。あるいは「同性」でも?それを想像して彼女は「受身形」で、

「お持ち帰りされる」

と言いたかったのでしょう。それは、

「『お持ち帰り』という名詞」

に、「する」の受身形である「される」を付けて、「お持ち帰りされる」です。

しかし、彼女はもう、「お持ち帰り」を、

「『お持ち帰る』という『動詞』」

として捉えて「受身形」にして、

「お持ち帰られる」

にしてしまったところに、漫画らしい新しい言葉の誕生があって面白いなと思いました。

「持ち帰る」

という動詞はありますが、「お」が付いた形の、

「お持ち帰る」

という動詞はありません。

グーグル検索では(3月2日)

「お持ち帰り」    =3420万0000件

「お持ち帰り・男女」 = 635万0000件

「お持ち帰りする・男女」 =53万3000件

「お持ち帰りされる・男女」=88万4000件

「お持ち帰られる」    =11万1000件

出て来ました。

 

(2020、3、2)