8279「意にそぐわない?」

2021 . 12 . 9

8279

 

きょう(12月9日)もきょうとて、「ミヤネ屋」のテロップをチェックしていたら、こんな表現が出てきました。

「意にそぐわないことをすると、飛ばされる」

うん?これは、何かがおかしいぞ。

「意に」

と来たら、言葉のつながり(コロケーション)で言えば、

「沿わない」

ですよね。「意向に沿う」か「沿わない」かです。

「そぐわない」

は似た感じの言葉ですけど、「意に」と来たときのつながり・表現としては、まさに、

「そぐわない」

感じがします。こういった語感は、一体どうやれば身につくのでしょうか?

一応、辞書を引くと(これ大事!)

*「そぐう」=(多く打消を伴って使う)似合う。そっくりつりあう(例)その場にそぐわない言動【『広辞苑』第8版】

いや、『広辞苑』さん、

「多く打消を伴って使う」

のなら、

「そぐわない」

を「見出し語」にしたほうが、使いやすいと思いますけどね。用例も「そぐわない」になってるし。

実際『新明解国語辞典』(第8版)は、「そぐう」は見出し語にはなくて、「そぐわない」を見出し語に立てています。

*「そぐわない」=いつも(その時)の状態から見て、接する人に違和感を与える様子だ(例)現状(実態)にそぐわない(=適応しない)

明鏡国語辞典』〈第3版)も同様の見出しの立て方で、【注意】として、

『「そぐう」は釣り合う、似合うの意だが、ふつう打消しを伴わない言い方は一般的でない。』とまで記してありました。

ということで、『広辞苑』の見出しの立て方が、

「現状にそぐわない」

感じがしたのでした。

 

(2021、12、9)