8281「シニアカー」

2021 . 12 . 10

8281

 

 

12月9日、東大阪市の近鉄奈良線の踏切内で、立ち往生した「電動車いす」に乗った69歳とみられる男性が、電車に轢かれて死亡しました。

この「電動車いす」の表現が、翌日12月10日の新聞各紙で微妙に違いました。

【見出し】         【本文】

(読売)シニアカー男性     ハンドル付きの電動車いす(シニアカー)

(朝日)車いす男性       シニアカー(電動車いす)

(毎日)車椅子男性       電動車いす(シニアカー)

(産経)シニアカー男性     シニアカー(ハンドル型電動車いす)

(日経)電動車いす男性     シニアカー(電動車いす)

 

この「電動車いす」というのは、「読売新聞」と「産経新聞」の記述を見ますと、これまで見てきた「電動」の「車いす」ではなく、

「ハンドルが付いている、電動の三輪車」

のようなもののようです。だとすると単なる「電動車いす」と表記すると、ちょっとイメージが変わってしまいます。

これに関係しては、もうずいぶん昔の話になりますが、「2001年5月」に開かれた「新聞用語懇談会」で、

「セニアカー」

という言葉が取り上げられ、在阪放送局の委員から、

「89歳の男性が、電動車いすに乗っていて犬に襲われて死亡した事件で、あれはどう見てもいわゆる『電動車いす』ではなく『電動三輪車』と呼ぶべきものだったが(商品名としては、セニアカー、ラプータ、マイシャトルなどがあるそうだ)道路交通法上は、身体障害者用の『電動車いす』に分類されるのだそうだ。警察発表が『電動車いす』だったのだろう。」

という意見が出されました。

それから20年がたち、高齢者の数も増えて、こういった「シニアカー」もたくさん使われることで、事故も増えて来たということでしょうか。しかしその「一般名称」は、

「まだ定まっていない」

というのが現状のようです

 

 

(2021、12、10)