「令和ことば事情8262」で「鬼千匹」について書きましたが、
「鬼」関係
で最近もう一つ気になっているのが、
「百鬼夜行」
という言葉です。この「夜行」をどう読むか?私は以前から、
「やこう」
だと思っていたのですが、『広辞苑』の見出しでは、
「やぎょう」
になっているのです!
解説文(語釈)の中には「ヤコウとも」と書かれてはいますが。
同じように「やぎょう」を見出しに取っているのが『現代国語例解辞典』(小学館)でした。
最近、なぜかこの「百鬼夜行」をよく見かけるのですが、それは全て「やこう」です。
例えばこの間見た、映画の宣伝で、『呪術廻船』という映画の一部分を流していて、その中で登場人物は、
「百鬼夜行(やこう)」
と言っていましたし、最近読んだ漫画『警視庁草子』(原作・山田風太郎、漫画・東直輝)の中で、
「今宵(こよい)の我々は まるで百鬼(ひゃっき)夜行(やこう)よのうぉ」
とルビを振って「噴き出し」に書かれたセリフも、
「やこう」
でした。
国語辞典も、『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『三省堂国語辞典』『岩波国語辞典』『三省堂現代新国語辞典』の見出しは、
「やこう」
で「『やぎょう』とも」になっています。
そして『新選国語辞典』も、「やこう」が見出しで、語釈の中にこう書かれていました。
「ひゃっきやぎょう=「ひゃっきやこう」の変化
とうことは、元々は「やこう」で、それが「やぎょう」と読む人も出て来たということか!
なお、放送人が参考にする『NHK日本語発音アクセント新辞典』を引いてみたら、
「ヒャッキヤコー」「ヒャッキヤギョー」
の順番で「両方」載っていました。
(2021、11、25)


