8263「百鬼夜行の読み方」

2021 . 11 . 25

8263

 

 

「令和ことば事情8262」で「鬼千匹」について書きましたが、

「鬼」関係

で最近もう一つ気になっているのが、

「百鬼夜行」

という言葉です。この「夜行」をどう読むか?私は以前から、

「やこう」

だと思っていたのですが、『広辞苑』の見出しでは、

「やぎょう」

になっているのです!

解説文(語釈)の中には「ヤコウとも」と書かれてはいますが。

同じように「やぎょう」を見出しに取っているのが『現代国語例解辞典』(小学館)でした。

最近、なぜかこの「百鬼夜行」をよく見かけるのですが、それは全て「やこう」です。

例えばこの間見た、映画の宣伝で、『呪術廻船』という映画の一部分を流していて、その中で登場人物は、

「百鬼夜行(やこう)」

と言っていましたし、最近読んだ漫画『警視庁草子』(原作・山田風太郎、漫画・東直輝)の中で、

今宵(こよい)の我々は まるで百鬼(ひゃっき)夜行(やこう)よのうぉ」

とルビを振って「噴き出し」に書かれたセリフも、

「やこう」

でした。

国語辞典も、『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『三省堂国語辞典』『岩波国語辞典』『三省堂現代新国語辞典』の見出しは、

「やこう」

で「『やぎょう』とも」になっています。

そして『新選国語辞典』も、「やこう」が見出しで、語釈の中にこう書かれていました。

「ひゃっきやぎょう=「ひゃっきやこう」の変化

とうことは、元々は「やこう」で、それが「やぎょう」と読む人も出て来たということか!

なお、放送人が参考にする『NHK日本語発音アクセント新辞典』を引いてみたら、

「ヒャッキヤコー」「ヒャッキヤギョー」

の順番で「両方」載っていました。

 

(2021、11、25)