8190「4強の壁」

2021 . 10 . 7

8190

 

今月開かれる予定の「関西地区用語懇談会」で、各社からの事前の「質問」のアンケートが回って来ました。その中に、こういうのがありました。

「トーナメントで『4強の壁』といった場合、『4強進出ならず』か『4強で敗退』か、どちらのニュアンスで使われますか?」

え?「4強の壁」は、

「ベスト8止まり」「4強進出ならず」

なのでは?と思いましたが、一応、考えてみました。

「4強の壁の前に敗れ去った」=ベスト8

「4強の壁が立ちはだかった」=ベスト8

「4強の壁を破れなかった」 =ベスト8

「4強の壁に跳ね返された」 =ベスト8

「4強を越えられなかった」 =ベスト4

だと思います。そこから考えると、「4強の壁」は、

「準決勝進出(4強)の手前にある」

のではないでしょうか?

ただ、ネット検索してみたら、両方の使い方が出て来ました。

★【ベスト8どまり】

*「静岡新聞」2020.12.24(47ニュース=共同通信)

『ホンダFC、4強の壁厚く サッカー天皇杯 準々決勝』

~徳島(J2) 3(1―0 2―0)0 ホンダFC(アマチュアシード)

*「毎日新聞」2021/5/8 20:04(最終更新 5/8 20:04)

『4強の壁は「フィニッシュ力」 キヤノン沢木監督 ラグビーTL』

~ラグビー・トップリーグ(TL)のプレーオフトーナメントは8日、埼玉・熊谷ラグビー場などで準々決勝2試合。4強を目指したキヤノンはパナソニックに17-32で敗れた。…8強で今季を終えた。

 

★【ベスト4どまり】

*「朝日新聞」2021年08月28日

『4強の壁 打って越える』

~智弁学園 きょう準決勝VS.京都国際(第103回全国高校野球選手権大会)

*ゲキサカ[1.5 高校選手権準々決勝 矢板中央2-0富山一 駒沢]

~矢板中央高(栃木)が2年連続のベスト4進出を決めた

「挑戦者の気持ちで」青森山田戦へ…“激戦区”勝ち上がった矢板中央、4度目4強の壁に挑む

「矢板中央は09年、17年、19年度と過去3度、ベスト4の壁に跳ね返され、いずれも無得点で敗退している。同校史上4度目の準決勝」

 

ここから考えられるのは、現在すでに「4強の壁」には「2つの意味」が出て来ていて、

「混乱している」

という事実。すなわち、

(1)「準々決勝で勝って4強になること」を阻む壁=「ベスト4の手前」に立っている。

(2)「4強」とされるチームそのものが「壁」となっているケース=「ベスト4の向こう側」に立っている。

そして、

(1)ならば勝てば「4強進出」

(2)ならば勝てば「決勝進出」

になるのですね。

最初に書いたように、本来は(1)でしょう。

意味を分かりやすくするためには、

(1)「4強進出の壁」「4強への壁」「4強の前に立ち塞がる壁」

(2)「4強突破の壁」

と強調して表現を使い分けてはどうでしょうか。

似たような「壁」の例としては、

「全国大会の壁」

が考えられる。これは、

「全国大会に出られなかったのか?」

「出られたけど勝てなかったのか?」

がありますが、文脈で判断するしかないのでしょうかね。

 

(2021,10、7)