今月開かれる予定の「関西地区用語懇談会」で、各社からの事前の「質問」のアンケートが回って来ました。その中に、こういうのがありました。
「トーナメントで『4強の壁』といった場合、『4強進出ならず』か『4強で敗退』か、どちらのニュアンスで使われますか?」
え?「4強の壁」は、
「ベスト8止まり」「4強進出ならず」
なのでは?と思いましたが、一応、考えてみました。
「4強の壁の前に敗れ去った」=ベスト8
「4強の壁が立ちはだかった」=ベスト8
「4強の壁を破れなかった」 =ベスト8
「4強の壁に跳ね返された」 =ベスト8
「4強を越えられなかった」 =ベスト4
だと思います。そこから考えると、「4強の壁」は、
「準決勝進出(4強)の手前にある」
のではないでしょうか?
ただ、ネット検索してみたら、両方の使い方が出て来ました。
★【ベスト8どまり】
*「静岡新聞」2020.12.24(47ニュース=共同通信)
『ホンダFC、4強の壁厚く サッカー天皇杯 準々決勝』
~徳島(J2) 3(1―0 2―0)0 ホンダFC(アマチュアシード)
*「毎日新聞」2021/5/8 20:04(最終更新 5/8 20:04)
『4強の壁は「フィニッシュ力」 キヤノン沢木監督 ラグビーTL』
~ラグビー・トップリーグ(TL)のプレーオフトーナメントは8日、埼玉・熊谷ラグビー場などで準々決勝2試合。4強を目指したキヤノンはパナソニックに17-32で敗れた。…8強で今季を終えた。
★【ベスト4どまり】
*「朝日新聞」2021年08月28日
『4強の壁 打って越える』
~智弁学園 きょう準決勝VS.京都国際(第103回全国高校野球選手権大会)
*ゲキサカ[1.5 高校選手権準々決勝 矢板中央2-0富山一 駒沢]
~矢板中央高(栃木)が2年連続のベスト4進出を決めた
「挑戦者の気持ちで」青森山田戦へ…“激戦区”勝ち上がった矢板中央、4度目4強の壁に挑む
「矢板中央は09年、17年、19年度と過去3度、ベスト4の壁に跳ね返され、いずれも無得点で敗退している。同校史上4度目の準決勝」
ここから考えられるのは、現在すでに「4強の壁」には「2つの意味」が出て来ていて、
「混乱している」
という事実。すなわち、
(1)「準々決勝で勝って4強になること」を阻む壁=「ベスト4の手前」に立っている。
(2)「4強」とされるチームそのものが「壁」となっているケース=「ベスト4の向こう側」に立っている。
そして、
(1)ならば勝てば「4強進出」
(2)ならば勝てば「決勝進出」
になるのですね。
最初に書いたように、本来は(1)でしょう。
意味を分かりやすくするためには、
(1)「4強進出の壁」「4強への壁」「4強の前に立ち塞がる壁」
(2)「4強突破の壁」
と強調して表現を使い分けてはどうでしょうか。
似たような「壁」の例としては、
「全国大会の壁」
が考えられる。これは、
「全国大会に出られなかったのか?」
「出られたけど勝てなかったのか?」
がありますが、文脈で判断するしかないのでしょうかね。


