8209「変死遺体」

2021 . 10 . 15

8209

 

 

昨今は、「死」という言葉・漢字が避けられていることもあって、

「死体」

よりも、

「遺体」

が使われことが多いです。でも、刑法上の罪名である、

「死体遺棄」

に関しては、法律での用語ですから「死体遺棄」を使いますが、

「遺体を遺棄した『死体遺棄』の疑い」

のように言う傾向が強い。新聞社では、以前は、

「死んだ人の名前がわからない段階」=「死体」

「死んだ人の名前がわかった段階」 =「遺体」

と区別していたそうですが、今は、

「名前がわからなくても『遺体』を使っている」

ように思います。

その影響でしょうか、「刑事訴訟法第229条」で取り扱いが規定されている、

「『変死者』または『変死の疑いのある死体』」

つまり「病死」ではなく、事故や自殺、他殺・自殺などで死んだ死体を総括した呼び名である、

「変死体」

を、このあいだ、

「変死遺体」

と呼んでいる言葉を見かけました。先日の共同通信のネット記事で、

「8月の変死遺体、最多250人がコロナ感染」

というものでした。

そのそも「変死体」は、

「変な死体=変・死体」

ではありません。もしそうであれば、この「体」を「遺体」にするならば、

「変遺体」

となるはずですが、そうはなっていません。つまり、

「変死した体=変死・体」

なので、

「変死・遺体」

なのです。その意味では「死」を避けたというよりは、「体」を丁寧に「遺体」と言っている。でも「死」と「遺」は重複しているようにも感じます。

グーグル検索では(10月15日)、

「変死体」 =28万0000件

「変死遺体」= 6万9300件

でした。

 

(2021、10、15)