昨今は、「死」という言葉・漢字が避けられていることもあって、
「死体」
よりも、
「遺体」
が使われことが多いです。でも、刑法上の罪名である、
「死体遺棄」
に関しては、法律での用語ですから「死体遺棄」を使いますが、
「遺体を遺棄した『死体遺棄』の疑い」
のように言う傾向が強い。新聞社では、以前は、
「死んだ人の名前がわからない段階」=「死体」
「死んだ人の名前がわかった段階」 =「遺体」
と区別していたそうですが、今は、
「名前がわからなくても『遺体』を使っている」
ように思います。
その影響でしょうか、「刑事訴訟法第229条」で取り扱いが規定されている、
「『変死者』または『変死の疑いのある死体』」
つまり「病死」ではなく、事故や自殺、他殺・自殺などで死んだ死体を総括した呼び名である、
「変死体」
を、このあいだ、
「変死遺体」
と呼んでいる言葉を見かけました。先日の共同通信のネット記事で、
「8月の変死遺体、最多250人がコロナ感染」
というものでした。
そのそも「変死体」は、
「変な死体=変・死体」
ではありません。もしそうであれば、この「体」を「遺体」にするならば、
「変遺体」
となるはずですが、そうはなっていません。つまり、
「変死した体=変死・体」
なので、
「変死・遺体」
なのです。その意味では「死」を避けたというよりは、「体」を丁寧に「遺体」と言っている。でも「死」と「遺」は重複しているようにも感じます。
グーグル検索では(10月15日)、
「変死体」 =28万0000件
「変死遺体」= 6万9300件
でした。
(2021、10、15)


