8215「分配と配分」

2021 . 10 . 18

8215

 

岸田首相が口にしてから、最近よく耳にするようになった言葉に、

「分配」

があります。この言葉を聞いてふと疑問に思ったのは、

「『配分』とはどう違うのか?」

ということです。語感としては、

「分配」=新たに分捕ったものを、みんなに配る感じ」

「配分」=あらかじめ限られた資源を、みんなで分ける感じ」

ですかねえ?

こういうときは、先に「英語でどう言うのか」を見てみるのも、一つの手ですね。

スマホで検索をしてみたら、

「分配」=distribution

「配分」=allocation

でした。

「distribution(分配)」

は聞いたことがあるけど、

「allocation(配分)」

って単語は知らないなあ…というようにフェイスブックでつぶやいたら、海外取引などの仕事をしている後輩から、

「会社で使っている感じでは、distributionは郵便物や貨物などの配送をイメージし、allocationは工場で原価計算する時のコストの配分をイメージします」

「allocationは、親会社の管理部門費用を割り掛けられることを連想します。ショバ代みたいな感じです」

「同じですね。Allocationは『アロケ』って呼んでいますが、一般的じゃないんですか?」

いや、専門用語なんじゃないでしょうか?「アロハ」は知ってるけど、「アロケ」は知らないよ!

日本の国語辞典で「分配」と「配分」を引いてみましょう。『広辞苑』では、

「分配」=(1)わけくばること。配分。(2)【経】土地所有者には地代、資本家には利潤、労働者には賃金をというように各人が生産にあずかった割合に従って所得が分けられること。所得分配。

あ!

答えが出ちゃった。この「2番目」の経済用語の「分配」を、岸田首相は使っていたんですね!一応「配分」も引こう。

「配分」=くばり分けること。わりあてくばること。分配。

この用例には、

「公平に配分する」「利益の配分」

とあって、この「利益の配分」というのは「『分配』の2番目の意味」と同じなのでは?

もう一度、英語に戻って『ジーニアス和英辞典』で、「分配=distribution」を見たら、いくつかの用例が出ていました。

「fair distribution(公平な分配)」

「the distribution of  wealth(富の分配)」

等が載っていました。

 

(2021、10、18)