真っ白な表紙の左端に黒い文字で、大きくタイトルが縦に書かれている。
真ん中に小さく、著者の名前が横書きにされている。
そして右端にピンクの小さめの文字でサブタイトルのように、こう書かれている。
「才能ある者にとってはユートピア、それ以外にとってはディストピア」
それが現代日本。
「無理ゲー」は「勝つ(クリアする)ことが無理なゲーム」。
「ディストピア」とは「ユートピア」の反対。「ユートピア」が「天国」だとすれば「ディアトピア」は「地獄」か。
これはまさに「新自由主義社会=現代社会」のことを言っているんだなとわかる。
そんな中、本書で「そうだったのか!」と改めて気づかされたのは、
「デモクラシー」
の日本語訳について。普通はこれを、
「民主主義」
と訳してなんの不思議も感じていないが、よく考えたら、
「○○クラシー」
というのはギリシャ語で、
「支配・統治」を意味する。
「テオクラシー(神政)」「アリトクラシー(貴族政)
のようなものだ。だとすると「デモクラシー」は「民主(デモス)主義(イズム)」ではなく、
「民主(デモス)政(クラシー)」
と訳すべきである。なるほど!
「メリトクラシー」
は、イギリスの社会学者マイケル・ヤングの1958年の著作『メリトクラシーの興隆』で出て来た造語である。日本語では、
「能力主義」
と訳されるが、これは、
「メリットによって人民が支配される世界」
なのである。そうかあ。みんな「メリット=得すること」ばかり考える社会なのね。分かりやすいです。それで社会が本当にうまく動いているのかは、見れば分かるわな。
(2021、8、21読了)


