『無理ゲー社会』(橘玲、小学館新書:2021、6、30)

2021 . 9 . 21

2021_078

 

真っ白な表紙の左端に黒い文字で、大きくタイトルが縦に書かれている。

真ん中に小さく、著者の名前が横書きにされている。

そして右端にピンクの小さめの文字でサブタイトルのように、こう書かれている。

 

「才能ある者にとってはユートピア、それ以外にとってはディストピア」

 

それが現代日本。

「無理ゲー」は「勝つ(クリアする)ことが無理なゲーム」。

「ディストピア」とは「ユートピア」の反対。「ユートピア」が「天国」だとすれば「ディアトピア」は「地獄」か。

これはまさに「新自由主義社会=現代社会」のことを言っているんだなとわかる。

そんな中、本書で「そうだったのか!」と改めて気づかされたのは、

「デモクラシー」

の日本語訳について。普通はこれを、

「民主主義」

と訳してなんの不思議も感じていないが、よく考えたら、

「○○クラシー」

というのはギリシャ語で、

「支配・統治」を意味する。

「テオクラシー(神政)」「アリトクラシー(貴族政)

のようなものだ。だとすると「デモクラシー」は「民主(デモス)主義(イズム)」ではなく、

「民主(デモス)政(クラシー)」

と訳すべきである。なるほど!

「メリトクラシー」

は、イギリスの社会学者マイケル・ヤングの1958年の著作『メリトクラシーの興隆』で出て来た造語である。日本語では、

「能力主義」

と訳されるが、これは、

「メリットによって人民が支配される世界」

なのである。そうかあ。みんな「メリット=得すること」ばかり考える社会なのね。分かりやすいです。それで社会が本当にうまく動いているのかは、見れば分かるわな。

 

 

(2021、8、21読了)