2020読書日記120『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社2019)
2020読書日記127『ワイルドサイドをほっつき歩け』(筑摩書房2020)
2020読書日記136『ブロークン・ブリテンに聞け』(講談社2020)
に続いて、この著者の本を読むのは4冊目。
最初の『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の中で出て来た、
「エンパシー」
がテーマで、ちょっと、文章が難しいです。学術論文のような感じです。
これに関しては「令和ことば事情7725シンパシーとエンパシー」にも書きましたが、中学生の息子さんが学校で、「シチズンシップ・エデュケーション」という科目で受けたテストの問題が「エンパシーとは何か?」というもので、息子さんは、
「自分で誰かの靴を履いてみること」
と答案に書いて「満点」だったとのこと。この「常とう句」の意味は、
「他人の立場に立ってみる」
ということだそうです。
この本では、その「エンパシー」について詳しく書いています。
そして「エンパシー」の究極は、本来の意味での「アナーキズム」に至るという。この「アナーキー」は「誰にも頼らない」という意味らしい。「えっ?」というような話ですが、これがサブタイトル「アナーキック・エンパシーのすすめ」と。
本の中では、サッチャー元・首相は「エンパシーがなかった」と書いています。
また「エンパシー」は「良い面」だけではなく、「闇の側面」も持っていると。コワッ!
「個人は心臓、社会は肺」
どちらも大事。
ちょうどこれを書いて『週刊文春』の8月5日号をパラパラッと見ていたら、作家の星野智幸さんが「今週の必読」欄で、この本の書評を書いていた。また翌日には、作家の山内マリコさんが『日本経済新聞』(8月14日付)の読書欄で、やはり書評を書いていた。今、「ウレ線」の本ですな。


